日英経済パートナーシップ交渉、月末の大筋合意を目指し継続
(英国、日本)
ロンドン発
2020年08月12日
日英両国政府は8月7日、交渉中の新たな経済パートナーシップについて、大半の分野で実質合意に到達。8月末までの大筋合意を目指すことで一致した。
6月初旬に正式に交渉が始まった(2020年6月10日記事参照)日英経済パートナーシップは、その後7回にわたってビデオ会議で首席交渉官による交渉が続けられてきた。これを踏まえ、茂木敏充外相が訪英し、エリザベス・トラス国際通商相との間で8月6日から2日間にわたり対面で協議した。日本の閣僚の外国訪問は、新型コロナウイルス感染症が拡大してから初めて。
茂木外相は7日の協議終了後、フェイスブックに「投資・サービス、電子商取引、競争政策の分野などでは、日EU・EPA(経済連携協定)を超えるハイスタンダードな内容を盛り込む」と投稿。引き続き、細部の調整を進めていることを明らかにした。外務省の発表などによると、国が企業にデータ開示などを要求することを制限し、その対象にアルゴリズムを含めるとしている。また、消費者保護に関する新たな規定も盛り込む。残りの協議を8月末までにまとめ、秋に批准手続きを終え、英国が日EU・EPAの適用から外れる2021年1月1日の発効を目指す。
外相会談ではASEAN、アフリカ開発支援での連携などで一致
トラス国際通商相との協議に先立ち、茂木外相は8月5日、ドミニク・ラーブ外相と会談。香港、東シナ海・南シナ海問題など対中国政策や、新型コロナウイルス対策で日英が緊密に連携していくことで一致した。また、日本政府が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」協力について、経済面では英国の外務・英連邦省と国際開発省の統合(2020年6月17日記事参照)も踏まえ、ASEANやアフリカなどでの開発支援で両国が戦略的に連携していくことや、インフラ支援では「質の高いインフラ投資に関するG20原則」などの国際規範が順守されるよう協力していくことで一致。中国の伸張を念頭に、新興国においても日英連携を強化する考えを示した。
(宮崎拓)
(英国、日本)
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