パンアメリカン保健機関、ブラック ジャック オンライン
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年07月07日
世界保健機関(WHO)の下部機関である汎米(パンアメリカン)保健機関(以下、PAHO)のカリッサ・エティエ二理事は6月30日、ブラジルはアルゼンチン、ボリビア、ペルーとともに8月に新型コロナウイルス感染拡大のピーク期を迎えるとの予測を発表した。その上で「各国が正しい決定を行えば」ピーク予測を調整することができるとした。
PAHOの伝染病担当責任者であるマルコス・エスピナル氏は「WHOは絶えずブラジル政府に対して感染検査数を増やすように要請し、国民に対するメッセージを一貫させるよう要請している」と明らかにしている。同氏はまた、「ブラジルでは州政府が感染防止措置を講じているが、連邦政府としてのメッセージが欠けている。これがなければ国民は混乱する」とメッセージの一貫性が求められる理由を説明している。
PAHOはまた、経済活動再開に伴う感染防止措置の緩和は時期尚早と牽制している。エスピナル氏は、「ブラジルの当局は新規感染症例に関するグラフの上昇曲線を抑えて、かつ大幅に低下させてから緩和を行うべき」と警告した。エティエ二理事は、「国民の規制疲れや他の政治的圧力があろうとも、効果が表れるまで当局は感染防止措置を緩和してはならない」と強調している。
ブラジル保健省の統計によれば、7月3日時点の1日当たり感染確認数は4万2,223人、同感染死亡者は1,290人、同回復者数は1万5,556人となっている。6月以降は死亡者数の増加は鈍化したが、感染者数のピークはまだ見えていない。その要因の1つはサンパウロ市などの主要大都市でICUベッドの占有率や新たな発症数が減少している一方で、内陸部や南部で感染拡大が続いているためだ。また、サンパウロ州やリオデジャネイロ州では段階的に経済活動を再開しているが、これによる感染拡大を懸念する専門家の意見もある。
ジュネーブ大学医学部グローバルヘルス研究所の「新型コロナウイルス感染症日次予測」によると、ブラジルにおけるウイルス感染の実効再生産数(Rt:1人の感染者が何人に感染させるかを表す数値。1.0超=「新規感染者数増加」、1.0=「同横ばい」、1未満=「同減少」)は5月末の1.20から6月14日に0.98まで低下したが、その後、数値は再び上昇して7月3日は1.10となっている。
(大久保敦)
(ブラジル)
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