ロックダウン解除の影響で、6月のインフレ率は予測以上の上昇
(トルコ)
イスタンブール発
2020年07月20日
トルコ統計機構(TUIK)の発表(7月3日)によると、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比12.62%の上昇となり、前月の11.39%の上昇から高進し、市場予測を上回る結果だった。
6月のCPIは、新型コロナウイルス感染拡大を受けて行われていたロックダウンの解除による社会活動の再開に伴い、運輸がサービス部門を、耐久消費財が商品部門の上昇を牽引した(添付資料表1参照)。
運輸は航空運賃や長距離バス運賃の上昇から、前月比5.6%増、前年同月比19.7%増となり、ホテル・レストランなどとともに、サービス部門(前年同月比11.8%増)の物価を押し上げた。
前年同月比でみると、耐久消費財の上昇は、通貨トルコ・リラ減価によるコスト圧力というよりは、需要増が要因とされており、自動車や白物家電、電気機器など全体的に物価上昇が見られる。また、たばこも5月に特別消費税が引き上げられて上昇圧力となった。
他方、前月比でみると、最大の構成比(22.77%)を占める食品・飲料(アルコール飲料を除く)は、未加工食品の季節要因による物価抑制は限定的だったものの、加工食品の価格上昇が抑えられていることで、横ばいとなった。
6月の国内生産者物価指数(D-PPI)の主要4セクターでは、前月比でみると、鉱工業が1.05%増、製造業が0.51%増、電気・ガスが3.03%増、水道が1.08%増で、全体としては0.69%増となった。前年同月比では6.17%増だった(添付資料表2参照)。
トルコ中央銀行は6月25日の金融政策会議で、新型コロナウイルスの影響を抑えるための経済対策として、政策金利を8.25%で据え置くことを決定した。ウイサル中銀総裁の就任以来、利下げが初めて見送られたことになるが、CPI上昇率から見た実質金利がマイナス圏にある状況に変わりはない。エルドアン大統領は、2020年末のインフレ率目標を8.5%に引き下げ、2021年に6%、2022年に5%以下という政府目標を達成するとしている。
(中島敏博)
(トルコ)
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