トルコのスタートアップエコシステムは着実に成長
(トルコ)
イスタンブール発
2020年07月07日
トルコ大統領府投資局は、投資家向けスタートアップ関連調査会社スタートアップス・ウォッチとともに、2020年版「トルコのスタートアップエコシステムの現状」報告書を公表した(同社公式ツイッターにおいて6月23日付で発表)。本報告書は毎年1回発表されており、トルコのエコシステムを形成するアクセラレーター、コワーキングスペース、テクノパーク、政府による支援策、投資家などの最新動向を紹介するほか、M&Aやエグジットに関するデータ、投資事例、ベンチャーキャピタル(VC)へのインタビューなども掲載している。
2020年版報告書によると、2010年から2019年にかけてエコシステムの整備が進んでおり、2019年時点で、アクセラレーターは57社(前年比7社増)、コワーキングスペースは44社(4社増)、テクノパークは61カ所(3カ所増)、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)は26社(2社増)となった。
2019年のエグジットおよびセカンダリー取引(投資家同士による2次取引)は20件あり、金額ベースでは総額2億8,400万ドルとなった。2010年以降では、最高額だった2018年の11億6,200万ドルに比べると大きく劣るものの、2016年、2017年を上回る結果となった。エンジェル投資家やVCによるエクイティファンディングは、2019年には99件、総額1億300万ドルとなり、前年比60%増だった。
これらの2019年のスタートアップ動向については、本報告書を作成したスタートアップス・ウォッチ創業者のセルカン・ウンサル氏は、自身の過去のブログ(2月9日付)で、デリバリープラットフォーム、モバイルゲーム開発、サイバーセキュリティー、チケット比較サイトなどの10社のスタートアップへの投資が2019年のスタートアップへの投資総額の72%を占めた一方、件数でみるとフィンテック分野が最多だった、と述べている。
2020年6月には、ソーシャルゲーム会社ピークがトルコ初のユニコーンとなることが発表されており(2020年6月4日記事参照)、トルコのスタートアップエコシステムは着実に成長しているとみられる。
(エミネ・ギョンジュ、中村誠)
(トルコ)
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