全国レベルでマスク着用義務、着用場所が争点に
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年07月16日
新型コロナ感染拡大防止のため、公共の場でのマスク着用を義務化する法律第14,019号が7月3日付の官報に掲載され、即日施行した。ブラジル全土で適用される。具体的には、街頭や公園のほか、バス、地下鉄、タクシーや配車サービスといった交通機関などでのマスク着用が義務付けられる。
本法律の策定に当たり、法案の段階では「商業・産業施設、協会などの宗教施設、教育施設、その他人々が集まる閉鎖的な空間でのマスク着用を義務付ける」との条項が含まれていた。しかし、ボルソナーロ大統領は、この条項に対して拒否権を行使。「その他の人々が集まる閉鎖的空間」という表現が曖昧で「個人の家」と解釈される可能性もあり、憲法で保障された国民の権利が侵害される恐れがあるとして、この条項を削除して法案に署名した。
これを受け、議会では、削除された条項を復活させて再度、立法化するか否かが現在、審議されている。
なお、サンパウロ州では、より厳格な州政令64.959号が5月7日から施行されており、商業施設を含んだ州内の公共スペースでのマスク着用が義務化されている。州の決定内容が国の決定より優先される、とブラジル最高裁が判決を下しているためだ。なお、同法令に従わない場合の罰金を規定した州決議書SS 96号が7月1日に施行し、道路などの公共スペースでマスクなどを着用していない個人に対する524.59レアル(約1万492円、1レアル=約20円)の罰金、および商業施設、文化施設、飲食店、スーパーマーケットなどの施設内でマスクを着用していない個人がいた場合に、同施設の管理事業者に違反者1人につき5025.02レアルの罰金を科すことを定めている。
ブラジルの行政区画は連邦・州・市で構成されており、特段の対策を講じていない州・市は法律第14,019号の影響を受けることになる。
(エルナニ・オダ、古木勇生)
(ブラジル)
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