EC利用者が急増、ライブコマースなど新たな営業手法の動きも
(ロシア)
モスクワ発
2020年07月08日
ロシアでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う外出規制や社会経済活動の制限を受け、小売業を中心にオンライン市場が急成長している。
電子商取引(EC)大手のワイルドベリーズによると、同社のマーケットプレイスでの新規販売者登録数の伸びは4月に前年同月比7倍、5月の最初の2週間では前年同期比の11倍にまで達した。4月からの約1.5カ月で6,600件の新規販売者登録があり、登録数は3万件(うち、1万8,000件は個人事業主)となった(小売業界ブラック ジャック ランキングサイト「ニューリテール」5月13日)。また、4月から5月にかけての新規顧客登録数は前年同期の2倍になったという(「イズベスチヤ」紙6月26日)。ロシアのEC調査会社データインサイトのフョードル・ビリン氏によると、人の移動や経済活動の制限期間中に、新たにECを利用した人は1,500万人に上る。社会経済活動の制限が緩和された直後はオフラインでの買い物をする消費者が増えるが、その後はEC利用に戻る人が増加する、と専門家たちは予測している(「コメルサント」紙6月25日)。
新たな営業手法や、デジタル技術を活用する事例も出ている。ライブコマース(注)のためのソリューションを提供するスタートアップ「Eyezon(アイゾン)」は、家電メーカーのパナソニック、LG、デロンギや家電小売り大手Mビデオなどを顧客に持つ。商品掲載ページでは、商品ブラック ジャック ランキングの閲覧のほか、リアルタイムで店員に質問をすることができる。Mビデオによると、ライブストリーミングの利用回数は1日6,000回以上。デロンギでは、ライブストリーミング利用者の約3割が実際に購入に至っているという(「タス通信」6月23日)。パナソニック・ロシアの担当者は、ジェトロの取材(7月3日)に対し「販売チャンネル戦略としてオンライン展開を強化しており、ライブストリーミングの活用は、顧客経験(カスタマー・エクスペリエンス)の向上や販促スタッフの業務と人員の効率化が期待できる」と語った。
衣料品専門EC大手のラモダは、ベラルーシのスタートアップ「WANNABY(ワナバイ)」の仮想現実(VR)技術を用いた、靴の疑似試着アプリの提供を2019年9月から開始。スマートフォンのカメラを足元にかざすことで、好きな靴の画像を画面上の足に投影することができる。ワナバイの技術は、世界的アパレルブランドのグッチも活用している。
(注)インターネットのライブ配信を通して、製品を紹介する営業手法。
(戎佑一郎、エカテリーナ・セミョノワ)
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