EU農産品・食品飲料団体ら、英EU将来関係協議への懸念を表明
(EU、英国)
ブリュッセル発
2020年06月08日
欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(COPA-COGECA)、欧州食品飲料産業連盟(Food Drink Europe)、欧州農産品貿易連絡委員会(CELCAA)の3団体は6月4日、EU・英国の将来関係協議について共同で声明を発表。同協議の第4ラウンド終了を前に、これまでのラウンドで進展が乏しく、また、現在の移行期間が終了する2020年12月31日までに両者間で合意に達することができないリスクが高まっているとして懸念を表明した。
3団体はEU・英国間のサプライチェーンへの混乱を抑えるために、将来のEUと英国の貿易関係において、以下の点を確保することが不可欠であるとした。
- 無関税、無手数料・課徴金、無割り当て
- EUと英国間の公平な競争条件の確保
- 衛生植物検疫措置(SPS)および強制規格・任意規格に関する高度の協力に加え、その適用における相違を最小限に抑えること。そのための、欧州食品安全機関(EFSA)および英国食品基準庁(FSA)の緊密な関係の維持。
- 税関審査および事業上の手続き負担を軽減するための税関協力
- EUおよび英国(に所在する)事業者のみが特恵待遇の利益を享受するための効果的な原産地規則
- EU単一市場の統合性を維持すべくアイルランド国境問題に係る議定書が確実に実施されること。
- EUおよび英国の地理的表示の将来にわたる相互保護
FTAなしで移行期間が終了する場合に備えた暫定措置を要請
また、貿易協定の締結および批准までの時間が限られていることを懸念し、英国政府が2020年末以降の移行期間延長を拒否している点に遺憾を示し、事業者らの混乱を回避するため十分な期間が確保されるべきであるとした。また、2020年中に自由貿易協定(FTA)の締結に至らない場合には、2021年頭から適用される代替的な暫定措置を検討するよう強く要求するとした。
EUの対英国農産物・食品貿易額は、2019年に580億ユーロに達しており、3団体は、「FTAの締結もしくは移行期間の延長が得られなければ、EUと英国双方の農産物・食品部門に収入の大幅な減少のみならず雇用の喪失といった深刻な影響を及ぼすことになる」と指摘した。
(安田啓)
(EU、英国)
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