ロシア中銀、コロナ禍による消費停滞を受け主要政策金利を4.5%に引き下げ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年06月26日

ロシア中銀は6月22日、主要政策金利(1週間物入札レポ金利)を5.5%から4.5%に引き下げた。2020年に入り3度目の利下げで、一度に1.0ポイント引き下げられるのは5年ぶり。2013年9月以降で最も低い利率となった。

中銀は今回の利下げの背景として次の2点を指摘している。a.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のために導入された各種制限措置によって消費停滞が生じ、想定以上にインフレが鈍化した、b.「コロナ禍」を受けた食料品・医薬品などの特定製品の需要急拡大や油価の大幅下落が落ち着き短期的なインフレリスクが沈静化した。中銀はこうした状況下で2021年のインフレ率が目標の4%から大幅に下回らないよう誘導したい考えだ。

加えて、中銀は具体的な数字を挙げていないものの2020年第2四半期のGDP成長率はこれまでの予想より大幅に下落するとの見方を示した。その要因として、各種制限措置による製造業・サービス業の活動縮小や国内外からの投資の減少、失業率の悪化と所得減による消費の減退を挙げている。外出制限措置の緩和に伴い消費は5~6月にかけて徐々に上向いているが、企業活動面では積極的な事業展開がいまだみられていないとし、2020年のGDP成長率をマイナス4~6%と予測。2021~2022年にかけて段階的に回復・成長していくとみている。なお、IMFは6月24日発表の「世界経済見通し」で、2020年のGDP成長率をマイナス6.6%、2021年を4.1%と予測している。

中銀は次回の会合(7月24日予定)でさらなる主要政策金利引き下げを行う可能性を示唆している。ロシアの大手行プロムスビャズバンクのチーフアナリストであるデニス・ポポフ氏は「中銀が2022年までの景気回復を目指している一方で、2021年にインフレ率が目標値に満たないリスクを考慮すると、2021年末まで金融緩和政策を維持する可能性が高い」と述べている(「ノーボスチ通信」6月19日)。

(加峯あゆみ)

(ロシア)

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