黒人致死事件のデモに関するトランプ大統領の発言には6割が否定的
(米国)
米州課
2020年06月17日
米国シンクタンク、ピュー・リサーチ・センター(PRC)は、6月12日に黒人致死事件にかかるデモに関連するアンケート結果を発表した(注)。
デモに関するドナルド・トランプ大統領の発言については、6割が誤った発言としている。人種別では、白人層の51%が誤った発言としているのに対して、黒人層は85%、ヒスパニック系は71%、アジア系は69%と違いが大きかった。世代別では、18~29歳の若年層が76%と、その他の世代(50~63%)に比べて高かった。支持政党別では、民主党支持者が94%、共和党支持者は20%と違いが際立った。
警官によるジョージ・フロイド氏の致死事件に抗議するデモを扱うメディアの報道については、56%の人が良いと評価している。特に黒人層は7割が良いと回答した。
報道内容については、非暴力的デモに関する報道が少なすぎるとする人が51%と過半数で、適切と回答した人は36%だった。一方、デモに乗じた暴力的・破壊的行動に関する報道が多すぎるとする人は44%で、適切とした人は36%だった。
また、黒人層の55%が人種間のさまざまな問題に関する報道が少なすぎると回答しており、白人層(33%)との違いが目立った。
トランプ氏が人種問題に与えた影響
同センターは同アンケ―ト結果に基づく別レポートも発表した。それによると、トランプ大統領が人種問題に与えた影響に関する問いに対しては、48%が悪化させたと回答した。人種別では、黒人層が68%、アジア系が62%、ヒスパニック系が55%、白人層が42%だった。支持政党別では、民主党支持者の8割が悪化させたと回答し、共和党支持者は13%にとどまった。
また、人種差別に関わるデモなどに5月に参加したかどうかについては、黒人層、ヒスパニック系、アジア系の1割が参加したと回答しており、白人層の5%を上回った。警官に不当に呼び止められた経験があるかとの問いについて、人種別にみると、「ある」との回答は、黒人層が45%と極めて高く、その他は、ヒスパニック系(19%)、アジア系(16%)、白人層(9%)だった。
トランプ大統領が米国の分断をあおっているとの批判も高まり、今回の事件をめぐる動向が11月の大統領選挙に与える影響が注目される。
(注)調査の実施時期は、2020年6月4~10日。対象者は1万1,013人、回答者は9,654人。
(松岡智恵子)
(米国)
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