ボルソナーロ大統領、医薬品・医療資機材の輸入・流通許可迅速化法案を裁可
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年06月05日
ジャイール・ボルソナーロ大統領は5月28日、医薬品や医療資機材の輸入・流通について、新型コロナウイルス対策実施期間中に限って例外的かつ一時的に、製品登録なしで輸入および流通許可を与える法案(2020年864号)を裁可した。大統領の裁可により同法案は2020年5月28日付法律第14,006号として29日付官報に公布され即日施行した。
外国の医薬品・医療資器材をブラジルで流通させるためには、国家衛生監督庁(ANVISA)に製品登録を行った上で、同庁から輸入・流通許可を得る必要がある。ANVISAへの製品登録は、規制が最も厳しい医薬品の場合、種類や製品によっては認可までにかかる期間が1年3カ月から3年にも及ぶ。法律第14,006号の施行により、対象製品に限り製品登録が不要となった。
ただ、5月6日に上院議会で可決された同法案(2020年5月7日記事参照)では、企業が輸入・流通許可を申請してから承認を受けるまでにかかる時間は「72時間以内」と規定されていたが、大統領は拒否権を行使して「72時間以内」との文言を削除して裁可した。この理由につき、保健省は、同省と連邦総弁護務庁(AGU)が大統領に対して、「ANVISAなど連邦政府機関の機能に関する規定の設定は、大統領の専権事項であり、議会が期限を設定するのは違憲との説明を行った」と発表している。
輸入・流通許可の申請から発給までの期限について明文化されなかったが、対象品目については製品登録が不要になったことで、ブラジルで医薬品や医療資機材を輸入販売する日本企業はじめ外国企業にとっては朗報だ。
今回施行した法律は、新型コロナウイルス感染症による公衆衛生上の緊急事態に対処するために、ブラジル当局が採用可能な諸措置(2020年2月6日法律第13,979号第3条)のひとつとして追加される。対象製品は医療分野のあらゆる原材料、医薬品、機器、消耗品としているが、事前に以下の外国機関による認証を得ている必要がある。
- 米国:米国食品医薬局(FDA)
- 欧州:欧州医薬品庁(EMA)
- 日本:医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- 中国:中華人民共和国国家食品薬品監督管理局(NMPA)
なお、法律では、対象となる医薬品を処方または投与する際に、医師が患者または同法定代理人に対し「当該品がANVISA未承認であり、上記外国当局によって認証を得ており使用が可能になったこと」を事前に通知することを義務付けている。
(大久保敦)
(ブラジル)
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