クアラルンプール市役所がアルコール飲料の新規販売許可発給を凍結
(マレーシア)
クアラルンプール発
2020年06月16日
クアラルンプール市役所(DBKL)は6月2日、アルコール飲料の新規販売許可の発給を同日付で凍結することを発表した。今回の決定はDBKLが独自に決定したものではなく、アヌアル・ムサ連邦直轄地相の要請にDBKLが応じるかたちで導入された。
飲酒運転の増加、罰則強化の方針
DBKLの通達には、6月2日以降のアルコール飲料の新規販売許可の発給凍結と、無許可で酒類販売行為を行う施設に対して法的措置を講じる旨が記載されている。凍結の背景には、6月1日にクアラルンプール市内で起きた死亡事故を含む、近年の飲酒運転による事故の増加がある。飲酒運転の違反者に対しては、1987年道路交通法に基づき罰金8,000~2万リンギ(約20万~50万円、1リンギ=約25円)、または3~10年の禁錮刑が科されるが、罰則が軽過ぎるという声が上がっていた(「ザ・スター」紙6月2日)。DBKLによると6月10日時点では、販売許可凍結の解除のめどは示されておらず、飲酒運転の厳罰化に関する新たなガイドラインが策定されるまで凍結されるとしている。
アルコール飲料販売許可の更新は可能
ジェトロが6月10日にDBKLに確認したところ、今回の規制の対象地域はDBKLが管轄するクアラルンプール市内のみで、その他の都市は対象外となっている。また、凍結の対象は新規販売許可のみで、販売許可の「更新」は、1976年物品税法に定められた手続きを行えば、申請可能だという。従って、既存のアルコール飲料の販売許可を持っているクアラルンプール市内のレストラン、ホテル、スーパーマーケット、バーなどはDBKLのウェブサイトにある申請書から引き続き更新手続きが可能だ。
日本からマレーシア向けのアルコール飲料の輸出額は2009年から2019年にかけて2倍に増えており、とりわけ日本酒の需要は高まっている。今回の凍結が長期化すれば、日本産アルコール飲料の販路拡大への影響が懸念される。
(重松広美)
(マレーシア)
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