モスクワ市、新型コロナ関連規制を段階的に緩和
(ロシア)
モスクワ発
2020年06月11日
モスクワ市では6月9日から、市民に対する外出規制と市内移動時に義務付けていた電子通行許可証携帯の制度が廃止された(注)。企業活動制限も段階的に緩和(添付資料表参照)される。6月8日に発表されたモスクワ市長令第68-UM号によるもの。
企業活動の再開に当たっては、国民権利保護・福利監督局(ロスポトレブナドゾル)の定める産業分野別の衛生・防疫基準のほか、モスクワ市が定める規則も順守する必要がある(2020年5月21日記事参照)。ロシアのビジネス関連法制度に詳しい在モスクワのアレクセイ・ロセフ弁護士はジェトロのインタビュー(6月9日)に対し、「今回の緩和はこれまで活動禁止となっていた外食や不動産、広告業が対象であり、在モスクワ日系企業に多い商社やメーカーの販売会社はもともと活動禁止の対象外のため、直接影響しない」とみている。
モスクワ市やモスクワ州では6月1日以降、非食品の小売店が営業を再開するなど経済活動の再開が加速している。6月4日時点でモスクワ市内の商業施設の半数以上、サービス業の3分の2が再開したと報じられている(タス通信6月4日)。売り上げも好調で、モスクワ市のウラジミル・エフィモフ副市長によると、5月27日~6月2日の商業・サービス分野の1日当たりの平均売り上げは前週に比べ、小売・卸業、外食で20%弱、ホテルや各種修理サービスは約30%増加した(ノーボスチ通信6月5日)。これらの状況を背景に、モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長は、早ければ2カ月以内に通常の経済活動に戻ることも期待できるとの考えを示した(「ベドモスチ」6月10日)。
他の地方でも経済活動の再開にかじを切るところが増えている。サンクトペテルブルク市では6月15日以降、市民の行動制限やサービス業の活動制限の緩和がさらに進む見込みだ(タス通信6月10日)。
(注)外出規制の廃止は、これまで特別な措置が取られていた65歳以上の高齢者などを対象に含む。外出時のマスク着用と商店などでの買い物、公共交通機関乗車の際の手袋着用義務は6月10日時点で継続。
(梅津哲也、イワン・リソフスキー)
(ロシア)
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