首都ブエノスアイレスの感染ピークは6月中旬以降に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年06月18日

ブエノスアイレス市保健省のフェルナン・キロス保健相は6月12日の定例記者会見で、首都ブエノスアイレスにおける新型コロナウイルス感染拡大を受けて、「今後数日間で感染のピーク期を迎える予定だが、ここ数日はピーク期に向かって感染者数が増えることが見込まれるため、しばらく厳しい状況が続くだろう」と伝えた。ただし、これまでの感染者数の増加については、「急増はしておらず、比較的安定している」とした。今後感染者が増加する要因としては「市内の各地区において積極的に検査を行っているのが要因」だと説明した。当初、同相は首都の感染ピーク期を5月下旬から6月上旬と伝えていた。

保健省によれば、全国における6月14日午前時点の感染者数の累計は3万295人で、そのうちブエノスアイレス市は、1万4,149人、ブエノスアイレス州は1万2,561人で、両地域で全感染者数の88%を占める。1日の感染者数は7日間前に比べ約2倍の1,500人を超え、そのうち約56%はブエノスアイレス州で確認されている。これらの数字を受けて、アルベルト・フェルナンデス大統領およびアクセル・キシロフ・ブエノスアイレス州知事は、さらに状況が悪化することを懸念している。フェルナンデス大統領は14日、「ブエノスアイレス市および州の近郊40都市で構成されるブエノスアイレス首都圏(AMBA)の感染の急増が気掛かり」だとし、「公共交通機関の利用制限やランニングなどリクリエーション活動の制限を推めたい」と、市政府の取り組みに対する反対意思をラジオ番組のインタビューで伝えた。

他方、6月28日まで継続する外出禁止令(2020年6月8日記事参照)により、100日間以上活動が許可されないことになる産業界からの批判が高まり、景気を回復させるための中期的な措置を求める声が強まっている。しかし、事業者の期待とは裏腹に、政府は、新たな個人資産税導入の検討や、外貨規制強化(2020年6月5日記事参照)のほか、地場大手穀物企業の国有化に向けたプロセスを開始するなど内向き指向を強めており、こうした政府の動きにビジネス界からは警戒感が強まっている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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