ベトナムの貿易、5月に急減、新型コロナの影響が顕在化か
(ベトナム)
ハノイ発
2020年06月29日
新型コロナウイルスによる貿易面への影響が顕在化している。ベトナム税関総局が6月11日に発表したところによると、2020年1~5月の輸出額は、前年同期比0.9%減の1,002億1,249万ドルとなった。1~4月は2.0%増と伸びを保っていたが、5月単月の輸出額が前年同月比12.3%減と落ち込んだ。
新型コロナウイルスの影響、輸出品目によって明暗
輸出を品目別にみると、1~4月で好調だったコンピュータ電子製品・同部品、機械設備・同部品は5月においても、2桁増となった(添付資料図1参照)。新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅での勤務やリモートワークが増え、パソコンなどのデジタル関連製品の需要が拡大したことが、コンピュータ電子製品・同部品の伸びを下支えした一因とみられる。特に、同品目の米国向けの5月の輸出額は、前年同月比62.9%増となっている。
一方、縫製品や履物などは、主要市場である欧米での消費低迷により注文のキャンセルや延期が相次ぎ、苦戦を強いられた。ホーチミンに拠点を置く台湾の大手スポーツシューズメーカーのポウ・ユエン・ベトナムは、受注が減少したことによる業績悪化により、従業員約3,000人の削減を発表するなど、同分野における新型コロナウイルスの影響は深刻だ。電話機・同部品も1~3月は前年並みの水準を維持していたが、4月が前年同月比35.5%減、5月が21.1%減となった。ベトナムにスマートフォンの製造拠点を置くサムスン電子は、同社の第2四半期のモバイル事業について、世界的な需要減や販売店の営業停止などの影響により、業績が悪化すると予想している。
輸入も落ち込みをみせている。2020年1~5月の輸入額は、前年同期比4.6%減の966億7,421万ドルとなった。1~4月は0.3%減だったものの、5月単月の輸入額が前年同月比21.2%減となった。品目別にみると、上位5品目のうち、輸出が好調だったコンピュータ電子製品・同部品を除いた全ての品目において、5月の輸入額が20%以上の減少となった(添付資料図2参照)。
(上田弘大)
(ベトナム)
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