新型コロナ対策で大統領権限集中法の期限延長法案を提出
(フィリピン)
マニラ発
2020年06月02日
フィリピンで、新型コロナウイルスの感染拡大防止政策の迅速な執行を目的に、ドゥテルテ大統領に権限を集中させる法律「Bayanihan to Heal as One Act(共和国法第11469号)」の有効期限を延長する法案「上院第1546号法案」が5月26日、国会に提出された。共和国法第11469号では、大統領への権限集中期間は6月末までの3カ月間としているが、上院第1546号法案では、9月末まで3カ月間延長することを定めている。
上院第1546号法案は、5月25日時点で新型コロナウイルス感染者は1万4,319人に上り、依然として地域単位での感染拡大が日々発生しており、フィリピンは非常事態にあるとし、共和国法第11469号の有効期限を延長する必要があると規定する。フィリピンでは5月28、29日にそれぞれ1日当たり感染者数がそれまでの最多となる539人、1,046人を記録するなど、予断を許さない状況が続いている。
ドゥテルテ大統領は3月25日に成立した共和国法第11469号に基づき国家非常事態宣言を行い、低所得層1,800万世帯に1世帯当たり月5,000~8,000ペソ(約1万500~1万6,800円、1ペソ=約2.1円)を2カ月間支給することを決めた。また、銀行などの金融機関からのローンのうち、外出禁止令や公共交通機関の停止を含む広域隔離措置の発動期間中に支払期限が訪れるローンについて、利息や罰金、その他料金などなしに30日間の支払猶予期間を設けることを義務化した。さらに、新型コロナウイルス患者への対応に当たって感染または死亡した医療従事者に対する補償金の支給といった対策を行ってきた。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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