活動制限緩和計画を発表、6月末の完了目指す
(スペイン)
マドリード発
2020年05月01日
スペイン政府は4月28日の閣議で、新型コロナウイルス対策に関連して、商業活動などの項目別に4段階の再開方針を定めた活動制限緩和計画(添付資料参照)を承認した。
3月14日以降、各種制限措置を段階的に解除し、飲食店や商業活動を徐々に再開。6月末以降、国内観光の早期回復を目指す。学校の一斉休校は新学期が始まる9月まで継続する。
感染被害は甚大だが、感染者の半数は回復済みで、医療逼迫の相当部分は解消されている。また、厳格な外出制限措置が奏功し、保健省のデータによると、感染者1人当たりの2次感染人数を示す基本再生産数(感染力)は4月28日時点で0.77まで低下しており、長期のロックダウン(封鎖)による景気や雇用への影響に対処する余裕が生まれつつある。
サンチェス首相は28日のテレビ会見で、「緩和計画は、国の調整の下、地域ごとに段階的に進める」と述べた。緩和フェーズへの移行は県や島単位で進めるため、通勤など特別な理由がない限り、県をまたぐ移動は引き続き禁止となる。
感染数が少ないため先行して5月4日から緩和措置を開始する一部離島部を除く全ての県・島が警戒事態期間明けの5月11日ごろから第1段階に入る予定だ。第2~3段階への移行ペースは地域ごとに異なるが、6月中旬~末までの移行完了を目指す。次の段階への移行の可否は、2週間おきに医療体制や各種データなどを見直して決定する。
今回の計画には製造業は含まれていない。製造業は3月30日~4月9日のイースター休暇に生産活動が禁止されたが、医薬品や食品、エネルギー関連などの必須部門は適用除外となったため、多くの工場は生産を継続してきた。
一方、自動車関連は、3月初旬から部品調達や工場での感染防止に苦慮し、多くの企業が3月中旬に生産を休止。4月中旬から5月初旬にかけて生産を再開する流れだ。再開に当たっても、各業界団体が管轄省庁との協力の下で策定した厳しい労働安全衛生基準を順守した上での労組との調整が必要なことや、市場の不透明感などもあり、課題は多い。
(伊藤裕規子)
(スペイン)
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