新たに12の地域で外出禁止措置を導入、首都圏州での感染拡大止まらず
(チリ)
サンティアゴ発
2020年05月11日
保健省の5月8日の発表によると、チリにおける新型コロナウイルス感染者数は、前日の7日から1,391人増加し、2万5,972人となった。併せて、死亡者数の累計は294人、回復者数の累計は1万2,160人と発表された。チリでは国内初の感染者が確認された3月3日から、感染者数の推移は緩やかに増加する傾向がみられたが、4月下旬から5月上旬にかけて急激な増加をみせ、1日当たりの増加人数が1,000人を超えるようになった。
特に、人口が集中する首都圏州の状況は深刻で、5月8日発表の新規感染者数の約80%、感染者累計の約70%を同州が占めている。この状況を受け、ハイメ・マニャリッチ保健相は、新たに12のコムーナ(注1)を外出禁止措置の対象とすると発表した。対象となる12コムーナは、セロ・ナビア、コンチャリ、ラ・グランハ、サン・ミゲル、ロ・エスぺホ、マクル、ロ・プラド、ペニャロレン、ラ・フロリダ、レンカ、サン・ホアキン、ラ・システルナで、期間は5月8日午後10時から7日間が予定されている。首都圏州では、既に13のコムーナが外出禁止措置の対象となっていることから(注2)、今回の追加と合わせて計25のコムーナが対象となった。本追加措置により、首都圏州で強制自宅待機措置の対象となる人数は、400万人に上ると伝えられている。
5月8日付の保健省の報告書によると、チリは人口100万人当たりのPCR検査数が中南米諸国の中では1万2,776件と最も多く、8日時点で総検査数は25万5,961件に上る。また、国内に配備された人工呼吸器1,825台のうち、595台が利用可能な状態と報告されている。政府は、PCR検査数の増加や、人工呼吸器などの医療器具の調達に尽力しており、今後も継続的な取り組みを行う意向を示している。
(注1)コムーナとは、国の地方行政の基本単位のこと。
(注2)5月8日夕刻時点で強制自宅待機措置の対象となっている13のコムーナは、キリクラ、レコレタ、インデペンデンシア、キンタ・ノルマル、サンティアゴ、エスタシオン・セントラル、パドレ・アギーレ・セルダ、セリージョス、サン・ラモン、エル・ボスケ、ラ・ピンタナ、プエンテ・アルト、サン・ベルナルド。
(岡戸美澪)
(チリ)
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