エチオピア政府が支援発表も、企業の需要減退への懸念高まる

(エチオピア)

アディスアベバ発

2020年05月13日

エチオピアでは、新型コロナウイルスの感染者が3月13日に初めて国内で確認されて以来、5月8日までに感染者数194人(検査数3万306件)が確認され、ビジネスにも影響が生じている。

首相府は5月2日の記者会見で、特定産業(サービス業、製造業、建設業、卸売業など)を対象に付加価値税(VAT)や売上税(Turnover Tax)の支払い期限を猶予する案を発表した。また、企業が国の新型コロナウイルス対策基金に拠出を決めた場合、次回に納付する法人所得税は20%減免されるほか、事業活動ができない中で雇用を維持した場合、個人所得税が4カ月間免除される。新型コロナウイルス対策基金は、政府が新型コロナウイルス感染拡大防止策を実施するに当たり、財源不足を補うために、国内から広く寄付を募るもの。

そのほか、歳入省は資金繰り支援として、付加価値税の還付を早める運用を表明済みだ。中央銀行は、市中銀行向けに150億ブル(約495億円、1ブル=約3.3円)を供給し、流動性の確保に努めていたが、5月2日の首相府記者会見では、これに加えて、エチオピア開発銀行を通じて中小企業や協同組合などに供給する資金が、合わせ総額450億ブル規模になると発表しており、これまでの3倍に膨らんだ。

エチオピア投資委員会(EIC)が4月27日に実施した調査(54社が回答、属性不明)では、企業が最も影響を感じているのは需要の減退という結果が示された(5月4日発表)。また、製造業のうち44%が新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な物資の生産を始めたり、生産を検討中だったりした。3月下旬以降は、一部の企業が政府の求めに応じて、国内で需給が逼迫する医療・保健用品へと生産品目を転換する動きがみられる。政府の別の報告では、4月時点で国内の工業団地の13社が需要減退で操業を停止していた。EICは企業活動への影響は、需要減退のほかに、物流や金融アクセス、供給網(サプライチェーン)に強く出ている、と分析している。

(関隆夫)

(エチオピア)

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