チェコと米国、5Gに関する共同宣言に署名
(チェコ、米国)
プラハ発
2020年05月15日
チェコのアンドレイ・バビシュ首相は5月6日、米国のマイク・ポンペオ国務長官と電話会議を実施、「5G(第5世代移動通信システム)に関する米国・チェコ共同宣言」に署名した。これは2019年5月のプラハ5Gセキュリティー会合で採択された「プラハ提言」と、EU加盟国が合意し欧州委員会が2020年1月に承認した勧告「5Gセキュリティー・ツールボックス」に基づくもので、これらの文書同様、自由かつ公正な競争と透明性、法の支配に裏打ちされた5Gネットワーク構築の必要性を強調している。現地報道によると、共同宣言はもともと5月に再度プラハで開催が予定されていた「第2回プラハ5Gセキュリティー会合」で両氏が署名する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催が延期されたため、今回のリモート署名となった。
共同宣言は、相互協力により、信頼できるソフトウエア、ハードウエアのサプライヤー選択メカニズムの創造、通信ネットワークの意図的な操作などからの保護、国民のプライバシーと個人の権利保障を達成することを目的として締結された。
サプライヤーの評価事項としては、特に以下の4点を挙げている。
- 独立した司法審査機能がない外国政府による影響下に置かれていないか。
- 出資構成、ビジネスパートナー、コーポレートガバナンスに透明性があるか。
- 新たなイノベーション創出をたゆみなく行い、知的財産権を尊重する義務を果たしているか。
- 倫理的な企業行動標準に基づき行動しており、企業行動の透明性を強いるような法的環境に置かれているか。
共同宣言ではさらに、信頼できるサプライヤー選択は国家安全のみならず、民間セクターにおける開発、イノベーションの新たな機会となること、また、NATO内で5Gネットワークの安全性に関して引き続き議論を進めていくことも確認している。
チェコでは2018年12月に、国家サイバー・ブラック ジャック コツ安全局が中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)のソフトウエアとハードウエアは安全を脅かす可能性があるとして、その使用に関する公式警告を発布した経緯がある。4月29日には上院がこの警告に鑑み、チェコの5G導入での両社の関与に関して、政府の立場を明確にするよう求める声明を発布している。
チェコ電信局によると、チェコの5Gネットワーク周波数の入札は2020年下半期に、ネットワーク構築開始は2021年に、それぞれ予定されている。
(中川圭子)
(チェコ、米国)
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