トルコの製造業に生産再開の動き
(トルコ)
イスタンブール発
2020年05月08日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による影響で生産を停止していたトルコの製造業に、稼働再開の動きが出ている。トルコの国営アナドル通信は、イスタンブール証券取引所に上場している16社が、約1カ月の生産停止を乗り越え、5月の第1週に生産を再開すると4月28日付で報じた。
トルコ自動車・自動車部品工業会(TAYSAD)はオンライン記者会見において、既にアナドル・いすゞ、メルセデスベンツ・トルコ、ホンダ・ターキー、カルサン、ヒュンダイ・アッサン、オトカル、トュルク・トラクター、オヤク・ルノーが生産を再開しており、5月の第1週にはフォード・オトサン、2週間目にトファシュ、トヨタ自動車が生産を順次再開する予定のため、関連部品産業も「最悪の事態を脱する」と期待を述べた。またTAYSADは、今回のCOVID-19の危機は欧州においてもサプライチェーンの見直しを緊急課題として突き付けており、トルコにとっての商機になると捉える見方も示した。
現地紙では、自動車セクター以外でも、ユンサ、アクン・テキスタイル、リュクス・カディフェなどの大手テキスタイル企業や、パイプメーカーのボルサン・マンネスマン、金属加工のサルクユサンなど、さまざまな分野で生産を再開する動きが出ていると報じられている。
業務の再開に当たっては、産業科学省によるガイダンスに従い、体温測定、防護のためのマスクや手袋などの着用、職場内での従業員の移動制限、消毒剤・石鹸の提供、従業員同士の間に1.5メートル以上の距離を置くことなど、衛生環境の整備を図ることが求められている。
他方、5月1日付ロイターなどによれば、トルコ最大の石油精製企業テュプラシュは需要減を受け、イズミル製油所での生産を5月5日から7月1日まで停止すると報じられた。
(中島敏博)
(トルコ)
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