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(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年04月22日

アルゼンチン政府は4月20日、政令376/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、新型コロナ感染拡大で影響を受けている民間企業への支援策を拡充することを発表した。同政令は、4月1日に公布された政令332/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおける民間企業支援策の中の「雇用および生産のための緊急援助プログラム」に関するもの。政令376/2020号は、同プログラムを拡大する改正措置だ。当初の支援策では、企業規模によって受けられる恩恵が異なり、さらに、国が支援する給与の給付は100人以上の従業員を持つ企業は除外されていた。改正後の主な内容は以下の通り。

  • 同プログラムによる支援を受けるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要がある:1.業務を行っている地域において、携わっている経済活動が深刻な状況にある。2.新型コロナに感染している、または感染によって重症化するリスクの高いグループ(高齢者、基礎疾患を持つ)、または家族の介護を行う必要のある労働者が多数いる。3.2020年3月12日以降、売り上げに大幅な縮小が見られた事を証明できる。
  • 受けられる支援内容:1.社会保障費の雇用主負担分の支払いを延期、または4月負担分は最大95%まで削減。2.国による給与の給付支援。企業規模は問わない。給付額は、従業員の2月分給与の50%相当。ただし、最低賃金額〔1万6,875ペソ(約2万7,500円、1ペソ=約1.63円)〕を下回ってはならない。かつ、最低賃金額の2倍(3万3,750ペソ)を上回ってはならない。3.自営業者に対しては、中央銀行の管理の下、無利子融資制度を設ける。
  • 同プログラムの対象期間は、2020年6月30日までだが、状況によっては2020年10月まで延長できる。
  • 既存の生産性回復プログラム(REPRO)は、無効となる。
  • 申請は公共歳入連邦管理庁(AFIP)のウェブサイトから行う。期限は4月23日まで。

マティアス・クルファス工業生産・開発相は、ラジオ番組のインタビューを通じて、アルゼンチンにおける企業数は60万社で、うち42万社は既に同支援プログラムへの申請を行っていることから、「企業の3社中2社は新型コロナによる影響を訴えていることになる」と説明した。また、工業生産・開発省は、申請企業の売り上げ減少を審査することになるが、「民間の正規雇用の約半分がこの恩恵を受けることが出来るだろう」とも付け加えた。短期的には、雇用維持が政府の最大の目的であると主張した。

4月18日付現地「ラ・ナシオン紙」によると、アルゼンチン工業連盟(UIA)が同日発表した報告書では、新型コロナによる活動制限措置の影響だけでなく2年間続いている国内経済の低迷によって、民間企業の販売や生産は大幅に落ち込んでおり、600社を対象とした調査では、全体の72%は「販売が60%縮小した」と回答。87%は「従業員の給与支払いは困難となる」見通しを立てている。調査結果は、政府に提出され、今回の支援策の改善の打ち出しに繋がったと見られる。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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