EU首脳、復興基金の早期具体化を欧州委に要請
(EU)
ブリュッセル発
2020年04月24日
新型コロナウイルス感染症とその影響への対応を議論する欧州理事会(EU首脳会議)が4月23日にビデオ会議形式で開催された。欧州理事会のミシェル常任議長は閉会後の同日の声明で、復興基金の設立に向け作業することで合意し、欧州委員会に早急な提案を要請したと述べた。
多年度財政枠組みとリンクした復興基金の提案を欧州委に指示
首脳会議での主な論点は以下のとおり。
- 欧州理事会は、ミシェル常任議長とフォン・デア・ライエン欧州委委員長が4月15日に共同で公表した各種制限措置の解除に向けた出口戦略ロードマップ(関連ブラック ジャック トランプ)を歓迎し、段階的で秩序だった制限解除のために可能な限り協調して取り組むことを確認
- 同じく4月21日に共同で公表した復興のためのロードマップを歓迎し、EUの戦略的自立性を強化し、不可欠の産品を欧州域内で生産することの重要性を確認
- ユーロ・グループ(ユーロ圏財務相会合)が4月9日に合意した、雇用・企業・加盟国へのセーフティ・ネット確保のための5,400億ユーロ相当のパッケージを承認し、6月1日までに運用可能となるよう要請
- 十分な規模を有し危機により最も影響を被った欧州域内の地理的領域ならびに産業を対象にした復興基金の早急な設立の必要性について合意し、欧州委に対し、ニーズを正確に分析した上で同基金と次期多年度財政枠組み(MFF)との連関(リンク)を明確にした提案を早急にまとめることを指示。
フォン・デア・ライエン委員長は同日に声明を出し、復興基金とMFFとの連関の求める欧州理事会の総意を支持し、「次期MFFはポストコロナ危機の新しい状況に適合したものであるべき。EU全体で必要な投資を創出するための火力を強める必要がある」と述べた。具体策として現状のEU予算では、各加盟国の分担拠出金などから構成される独自財源の上限はEU全体の国民総所得(GNI)の1.23%と定められているところ、2~3年間は2%程度まで引き上げる必要があるとの構想を示した。
(安田啓)
(EU)
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