外食産業への影響大、宅配への転換にも限界
(ウズベキスタン)
タシケント発
2020年04月17日
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため店舗営業・外出規制などが開始され、約1カ月が経過しようとしている(2020年3月26日記事参照)。レストランやカフェなども全面的に店舗営業を停止しており、富裕層や新興中間層に支えられた外食産業への影響は特に甚大だ。宅配サービスへの転換も限界があり、半製品の供給などで急場をしのごうとしている。一方、タクシー・宅配アプリ企業には「特需」となっている。
ポータルサイト「ウズニュース」(4月13日)ではタシケント市の外食・小売産業を代表する企業家のコメントを掲載している。市内で複数の高級レストラン・バーなどを経営する「スマート・グループ」の創設者サンジャル・マクスドフ氏は、営業規制実施後に宅配サービスを開始したが注文は非常に少ないので、スーパーマーケット向けに半製品のサムサ(ミートパイ)やバーベキュー肉を供給・販売する予定としている。同じくタシケント市内でカフェチェーン「チャイコフ」を展開するアリナ・ツィメルマン氏は、現在30%の人員で店舗を営業(持ち帰りのみ)しているが業績が落ち込んでいるため、宅配に適した自宅で簡単に料理できる半製品などにシフトしていく方向性に言及している。
タシケント市や地方中核都市で実施されている車両移動の制限(一般の乗用車での市内移動を禁止、日系企業含むブラック)も外食産業の宅配事業に大きな影響を与えている。ファーストフードチェーン「ストリート77」「ウオック」はタシケント市内16店舗のうち14店舗を閉鎖、人員を75%削減した。創設者のエリエル・ハリムジョノフ氏は、同チェーンで配達を行うのに必要な車両を全く確保できていない現状を明かしている。いずれの経営者も規制解除まで業績は回復しないとあきらめ顔だ。
外出規制は市民の消費行動にも影響を与えている。スーパーマーケット大手「コルジンカ」の創業者ザファル・ハシモフ氏は、消費構造が急激に変化し、長期保管できる商品、野菜ではジャガイモ、ヒマワリ油、小麦粉、マカロニ、そばの実など生活必需品の需要が大幅に伸びていると話している(ポータルサイト「スポット・ウズ」、4月5日)。
一方、宅配、タクシー業者にとっては特需となっている。タクシーアプリ大手「マイタクシー」、レストラン・商品宅配アプリ大手「エクスプレス24」創設者のアクマリ・パイジエフ氏はタシケント市で食品の注文数は5倍に増え、野菜、衛生用品、えん麦、マカロニの注文が多くなっているとコメント。医薬品宅配アプリ「GOアプテカ」のムスタフォ・ドスト氏は外出制限開始から顧客数は50%増加、引き続きマーケティングを強化するとしている(ポータルサイト「フォーブス・ウズベキスタン」3月26日)。
(高橋淳)
(ウズベキスタン)
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