プーチン大統領、自動車販売促進や現地調達拡大に向けた支援を表明

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年04月28日

プーチン大統領は4月24日、新型コロナウイルス感染の拡大によって苦境に立たされているロシアの自動車産業に対して、自動車販売促進に向けた追加支援策の導入や部材・原材料の現地調達の拡大に向けた支援を行う意向を示した。同日に開催された自動車産業関係者とのオンラインでの会合の結果を踏まえたもの。

プーチン大統領は、地場大手自動車メーカーのアフトワズ、ガズ、カマズ、ソレルスや自動車産業クラスターを有するニジェゴロド州とサマラ州の知事などから、自動車産業の置かれている状況や政府に求める支援に関してヒアリングした。

アフトワズのイブ・カラカトザニス社長は「現在の売り上げはほぼゼロである一方、1週間当たり20億ルーブル(約28億円、1ルーブル=約1.4円)の経費が発生している。運転資金確保に問題が生じており、5月15日に予定している200億ルーブルに上るリサイクル税の納付が困難」と述べ、ガズのワジム・ソロキン社長は「当社の損益分岐点は月産4,800台だが、5月と6月については月産1,500台に落ち込む見込み」とし、カマズのセルゲイ・コゴギン社長も「2020年第1四半期の売上高は前年同期比で15%減、4月第1~3週は前年同期比95%減で、輸出も停止している。部材・原材料調達においては、中国からの調達の大部分は2月に、欧州からは3月以降ほぼ全て停止している」と、それぞれ苦境を語った。

これを受け、プーチン大統領は「自動車産業向けの支援は最大限早期に実現しなければならない。部品生産から自動車販売・メンテナンスに関わる全てのサプライチェーンを安定させる」と応じ、a.ファミリー向けの車種販売や1台目の乗用車購入者を対象とした前払金10%割引やオートローン金利補助プログラムに70億ルーブルを追加拠出、b.商用車・トラック購入に伴う自動車リースプログラムに60億ルーブルを追加拠出、c.現地調達のより一層の拡大などを表明した。

加えて、プーチン大統領は、リーマン・ショックを契機として2008~2009年に発生した経済危機を自動車業界が乗り越えたことで、その後の自動車市場が質の高い発展をみせたと指摘し、危機を経験・克服することは自動車産業の発展につながる、との見方を示した。

(齋藤寛)

(ロシア)

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