原油市場急落により、国内で最大30油田が閉鎖の可能性
(コロンビア)
ボゴタ発
2020年04月27日
コロンビア石油協会(ACP)は4月22日、原油価格の急落が国内石油産業にあたえる影響に関するレポート「石油危機:コロンビアへの影響」を発表した。ACPは、2020年内のブレント原油価格が1バレル25ドルを割り続ければ、生産量は日量81万5,000バレルまで落ち込むと予想。そうなれば、国内油田のうち25~30が、油井数にして390が閉鎖に追い込まれると見通している。
投資計画に与える影響も大きい。ACPは、2020年の民間投資額は油田探査が2億7,000万ドル(当初計画比約60%減)、生産は5億3,000万ドル(約55%減)に落ち込むと試算している。また、原油市場が回復しなければ、石油関連企業は4月から12月までの間に直接雇用の8%、間接雇用の72%の従業員を削減する必要性が生じるだろうと述べている。
開発地域や財政に与える影響大きく
国内の石油開発は、主に東部平野(アラウカ県、カサナレ県、メタ県、ビチャダ県)、南部のプトゥマヨ県、マグダレナ渓谷周辺(ボリバル県、サンタンデール県、アンティオキア県、カルダス県、トリマ県、ボヤカ県)と広範囲におよぶ。石油産業がこれらの地域で2011年から2018年までに調達した商品やサービスの総額は96兆ペソ(約2兆6,000億円、1ペソ=約0.027円)に上り、これらの地域経済への影響も懸念される。
投資減少による財政への影響については、中央政府や地方政府が受け取る税金やロイヤルティーの額は、1バレル25ドルの場合、2019年の16兆ペソから、2020年は2兆ペソと大幅に減少する見込みだ。
企業は政府に生産コスト削減への協力を要請
コロンビアの石油生産コストは1バレル当たり17ドルから33ドルと世界的にみても高い。石油価格が1バレル当たり40ドルから45ドルであれば生産コストをカバーできるが、これを下回ると将来の生産や埋蔵量増加を支えるための投資が難しくなる。ACPは政府に対し、特にパイプランでの輸送コスト削減に協力するよう求めている。
(茗荷谷奏)
(コロンビア)
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