新型コロナウイルス対策の警戒事態を5月9日まで延長
(スペイン)
マドリード発
2020年04月20日
スペインのペドロ・サンチェス首相は4月18日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための「警戒事態」(関連ブラック クイーン ブラック)をさらに2週間延長し、5月9日まで継続する意向を明らかにした。憲法の規定に従って4月21日の閣議後に延長案を提出し、今週中に下院で承認される見込みだ。
政府は感染者急増に伴う医療態勢の逼迫を受けて、3月14日に厳格な移動制限や店舗休業を伴う警戒事態を発動した。今回で3度目の外出禁止期間延長が通算60日近くに上ることから、子供の散歩については4月27日から制限付きで許可する方針とした。
出口戦略は5月中に開始の見通し
政府発表のデータによると、4月19日時点の国内の累計感染者数は19万5,944人(前日比4,218人増)と20万人目前となっている。先週から全国で大規模で迅速な抗体検査が始まったこともあり、感染者の増加は高止まりが続くとみられる。一方、死者数(2万453人)の日次増加数は410人と、3月23日以来最も少ない水準まで減少した。感染者・死者ともに最も多いマドリード州では、大型スケートリンク施設に設置している臨時の遺体安置所が4月22日に、また軽症者治療のためマドリード国際展示場(IFEMA)に設けていた野戦病院は5月末には撤去する予定だ。
首相は5月10日以降の見通しとして、「5月中には移動制限の段階的解除を開始できるだろう。現在の全国一律から地域ごとの状況に応じたものとなるが、感染データの推移によっては再び制限を強化する可能性もある」と述べた。
新たに中小企業・個人事業者への納税延期措置
なお、警戒事態の長期化で資金繰りに苦慮する中小企業や個人事業者に対し、政府は14日、年間売上高60万ユーロ以下の企業と個人事業者の第1四半期(1~3月)分の付加価値税(VAT)納付、法人税・個人事業税の分納の期限を4月20日から5月20日に1カ月延期した。
また、3月18日に施行された緊急措置法(スペイン政府が2,000億ユーロ規模の追加措置、カード)に盛り込まれた困窮個人事業者への給付金は、4月17日時点で約92万人への支給が承認された。この給付金は、月商が直前6カ月の月平均から75%減少あるいは事業継続が不可能となった個人事業者に対し、社会保険料の標準報酬月額の70%(最低661ユーロ)を給付するというもの。
(伊藤裕規子)
(スペイン)
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