カナダ連邦議会が新型コロナウイルス緊急対応第2号法案を可決、賃金助成制度実施へ
(カナダ)
トロント発
2020年04月14日
4月11日に緊急招集されたカナダ議会上下両院は、新型コロナウイルス緊急対応第2号法案を可決した。同法案には、「カナダ賃金助成制度(CanadaEmergency Wage Subsidy:CEWS、注1)」の運用条件などを確定させるために必要な所得税法などの改定が含まれており、これによって対象となる企業は助成金の申請が可能となる。本助成制度は、トルドー首相が3月27日に発表し、モルノー財務相が4月1日に制度の詳細を発表していたが、その後運用に向けての調整が行われ、法律の成立まで時間がかかっていた。
CEWSでは、対象となる雇用主が2020年3月15日から6月6日までの期間に従業員に支払う報酬の最大75%を助成する。具体的には従業員1人当たりの助成額は、以下1.と2.のいずれか大きい方の額となる。
- 報酬額の75%(ただし最大で週847カナダ・ドル(約6万6,000円、Cドル、1Cドル=約78円))
- 報酬額(ただし最大で週847Cドル)、または当該従業員の(今回の新型コロナウイルス感染拡大による経済)危機前の報酬額の75%、のいずれか少ない方
対象となる報酬には、給与、賃金、課税対象給付金などが含まれる。雇用主は、新規雇用者に支払う給与と賃金についても同様に最大75%の助成金を受けることができる。
CEWSの対象となる雇用主には、個人や法人、非営利団体などが含まれているが、公的機関は対象外となっている。助成金の申請対象期間は3月15日までさかのぼり、6月6日までの12週間。対象期間は3月15日~4月11日、4月12日~5月9日、5月10日~6月6日の3つに分かれ、最初の対象期間では、2020年3月に収入が前年同月比15%以上減少した雇用主が対象となり、それ以降の期間は、4月または5月の収入が同30%減少した雇用主が対象となる(注2)。
政府は対象となる雇用主に対し、(解雇した)従業員をなるべく早く再雇用し、本助成金を申請することを推奨している。ただし、既に実施されている労働者への支援策である「カナダ緊急対応給付(Canada Emergency Response Benefit:CERB)」(ブラック ジャック トランプ)との重複支給を避けるため、CERB受給期間に再雇用された個人に対して、CERBの申請の取り消しを求める予定としている。
今回の法案成立後、モルノー財務相は「CEWSは(新型コロナウイルスの流行による)危機を乗り越え、危機後に迅速に回復するために必要な支援を労働者や企業に提供する。政府は、この前例のない世界的流行の間、カナダ国民や経済の支援するためにあらゆることを続けていく」と述べた。
なお、カナダ政府の発表によると、4月12日時点でのカナダでの感染者は2万4,365人、死者717人となっている。
(注1)制度の詳細は、財務省のウェブサイトも参照。
(注2)比較対象となる前年の収入がない場合には、2020年1月と2月の収入の平均を比較対象として使用することができる。
(酒井拓司)
(カナダ)
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