スリランカ中央銀、自動車と非必需品の輸入に関する信用状開設を停止

(スリランカ)

コロンボ発

2020年04月30日

スリランカ中央銀行は3月19日、自動車と非必需品の輸入に関する信用状の開設を停止すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)し、市中銀行に対して、同措置を3カ月間は継続するよう指示を出した。中央銀行は、新型コロナウイルスの影響によりスリランカ・ルピーの為替下げ圧力が強まっているとして、これを緩和し金融市場の混乱を防ぐための措置としている。スリランカ・ルピーは米ドルに対して、年初から3月末までで4.7%下落しており、今年に入ってから為替下落が続いている。

本措置に伴い、スリランカでは、信用状による取引のみが認められている自動車の輸入が完全停止している。ジェトロが新車販売企業にヒアリング(実施日:4月17日)したところ、「今回の信用状開設停止措置については、再開を待つしかない」とした。3月19日以前に開設済の信用状取引分については輸入可能のため、同社は5月までは日本からスリランカへの車両の輸入が予定されており、当面の販売は保有在庫でしのぐ予定だという。

また、中古車販売企業へのヒアリング(4月27日)によると、信用状開設停止措置の発表前に、日本の中古車オークションを通じて大量に車両を仕入れたが、今回の措置で輸出できず、日本で余剰在庫としてとどまっているという。さらに、外出禁止令の影響でスリランカ税関の手続きが遅延しており、スリランカの港に到着した中古車約1万台が、港湾敷地内に通関を通らず据え置かれているという。

これに対し、現地中古車販売業界関係者は、信用状開設停止措置は、この3カ月間では収まらず、追加で3カ月延長される(合計6カ月間)可能性が政府で議論されているため、業界一体となってスリランカ政府に、3カ月後(6月下旬)には停止措置を解除するよう水面下で働きかけているという(4月21日ヒアリング)。

スリランカでは、外出禁止令が5月4日まで継続されており(4月27日時点)、政府通達により3月25日から順次工場の操業が停止しているため、現在は各企業が信用状を開設する機会がそもそもなく、今回の停止措置のビジネスへの影響は自動車など一部の業種に止まるとみられる。一方、今後外出禁止令が終了し、ビジネスが平常化されるにつれて、各産業への影響が明らかになってくることから、停止措置の動向に注視が必要だ。

(注)リストA:輸入停止措置除外車両(商業車両等)一覧、リストB:輸入禁止の非必需品一覧がそれぞれ記載されている。

(ラクナー・ワーサラゲー、糸長真知)

(スリランカ)

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