政府、人工呼吸器の国内製造指針を公表
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年04月20日
ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)は4月16日、人工呼吸器の国内製造を行おうとする製造事業者を対象として、製造者に求められる要件、順守すべき法令、認可取得プロセスなどを解説した指針を公表した。
ブラジル政府は、既に3月17日付の貿易審議会(CAMEX)決議第17号によって人工呼吸器の輸入関税をゼロ%とすることを決定しているが、新型コロナウイルス感染者の急増に直面し、輸入のみでは必要数を確保できないことが顕在化していることから国内製造をサポートするための施策を講じたものだ。
ただし、人工呼吸器などの医療機器は、一般の工業製品とは異なる安全水準が求められており、製造事業者が越えるべきハードルは必ずしも低くはない。具体的には、製造事業者にライセンスが必要であること、製造事業所における品質管理システムの構築が必要であること、機器のリスク評価やトレーサビリティを確保することが必要であること、量産のための体制を構築し文書化する必要があること、電気安全に関する認証を国家度量衡・規格工業品質院(INMETRO)から取得するとともにANVISAに製品登録する必要があること、製品上市後にも品質維持体制を確保する必要があること等多岐にわたる。今般発出された指針では、これらについて段階ごとに取るべき手順や関連規則が示されている。
このような医療機器特有の要求の厳しさもあり、この指針が発出されたことをもって即座にブラジル国内で人工呼吸器の量産が開始され、製品が市場に流通するものとは考えにくいが、輸入に頼る現状を打開し国産製品の量産化を進めるものとして一定の評価ができ、また、日本はじめとする外国籍の製造企業にとっても参入の余地が拡大したものと評価できるのでないかと考えられる。
(岩瀬恵一)
(ブラジル)
ビジネス短信 74f2215205b8d65f