EU・英国、将来関係協議の第2ラウンドは平行線をたどる

(EU、英国)

ブリュッセル発

2020年04月27日

EUと英国との将来関係協議の第2ラウンドが、4月20日からテレビ会議形式で実施された。欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は24日、協議を終えて声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表、「全ての交渉分野で並行して進展を目指したが今週、その目的は非常に部分的にしか達成されなかった」と総括した。6月に首脳レベルで予定される進捗評価の会合まで、残り2回(5月11日、6月1日からの各週)しか協議が予定されない中で、「英国はいくつかの基本的な論点において、真剣に取り組むことを拒んだ」と語気を強めた。

新型コロナウイルスの影響による危機下での協議の難しさを指摘

冒頭、同首席交渉官は、現在の局面で各国政府およびEU諸機関が新型コロナウイルスへの危機対応に最優先で取り組むのは当然で、EU・英国間の将来関係協議は現状から「かけ離れた、非現実的な事項とさえ言える」と表現した。また、今会合で約40のテレビ会議を実施したものの、通常の交渉会合と同等とは言い難い、と遠隔実施の難しさを認めた。

交渉は、11の分科会形式(参照)で行われた。首席交渉官は、両者の相違が大きい論点として、初回交渉と同様に、(1)公平な競争条件の確保、(2)将来関係のガバナンス、(3)犯罪に関わる司法・警察協力、(4)漁業、の4点を挙げた。

(1)では、国家補助に対する規律や税制措置を例に挙げ、不当な比較優位関係の発生を防止しなければならない、と指摘した。(2)では、EU側は3月18日に公表した協定テキストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で提案したとおり、1つの枠組みで両者のガバナンスを管理すべきとの立場をとるのに対し、英国側は複数の協定を想定しており、後者では重複や非効率性、透明性の欠如といった問題が生じるとの見方を示した。(3)では、とりわけデータ保護に関して、英国の立場は基本的権利と個人の自由の強固な保証を拒んでおり「既存の制度から逸脱し、保護の水準を低下させるもの」と評した。(4)では、英国はテキスト案を提示せず、進展はなかった、と言い切った。

(安田啓)

(EU、英国)

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