外出・移動制限は強化するも生産活動には配慮

(トルコ)

イスタンブール発

2020年04月09日

エルドアン大統領は4月3日、国内の移動制限を強化し、4日から15日まではイスタンブールやアンカラなど30の広域市を有する県およびゾングルダク県への移動を、国民の生活に必要不可欠とされる一部の例外を除き、禁止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(内務省HP)した。

すでに国内移動では長距離バスなどの運行は停止、航空機も貨物を除いて厳しく制限されている。今回の決定では、食料品や保健・清掃関連のような必要物資の運搬車両や、内務省規定による物流関連の車両以外の出入りを全面的に禁止することになる。

また、3月27日からすでに外出が禁止されている65歳以上の者に加えて、4月4日以降は20歳以下の者にも外出禁止令が適用された。他方で、18~20歳までの公務員、社会保障対象の労働者、季節農業の労働者は例外とされるなど、雇用・失業対策には配慮した内容となっている。

このようにトルコ政府は、新型コロナウイルス対策を強化する中、雇用および生産活動については最大限維持するという方向性を示している(2020年3月24日記事参照)。エルドアン大統領は、「基本的な生活必需品の供給を維持し、輸出をサポートするために、生産の継続を確保することが最も重要だ」と主張した。経済界も大統領に、「経済活動を続けるべきである」と書簡で伝えるなど、ウイルス感染阻止と経済活動支援の両面からの対策を支持している。

トルコの自動車生産工場は3月末から、全工場で稼働を最大4月20日まで一時停止しており、在庫減から中古車価格の高騰が見られるようになっている。また、中国からの調達不安で代替調達先として名乗りを上げた繊維・衣料品セクターも欧州の状況悪化によるキャンセルが相次いでいる。他方、アパレル企業の中には、防護服・マスクなどの医療用製品を生産し始めている企業が急増している。

(中島敏博)

(トルコ)

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