新型コロナ、ジョージアで影響最大、21 トランプ全般では2021年に成長回復予測
(中央アジア、コーカサス)
タシケント発
2020年04月10日
アジア開発銀行は4月3日、アジア大洋州諸国を対象とする経済分析レポート「アジア開発予測2020」を発表した。これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的まん延による各国経済への影響を勘案した国際金融機関による経済予測で、対象には中央アジア(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)、コーカサス21 トランプ(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)が含まれている。
同レポートでは、中央アジア、コーカサス21 トランプで唯一トルクメニスタンを除く全ての国で前回予測時(2019年9月)と比較し経済成長の減速が予想されている(表参照)。今回の新型コロナウイルスの世界的まん延で最も経済的影響を受けるのはジョージアで、2020年の実質GDP成長率はゼロパーセントが想定されている。同国経済は観光と貿易に依存する部分が大きく、各国による国境閉鎖を受けたモノ・金融(資金)の停滞がその理由として挙げられている。
このほか、各国の経済成長の減速要因として、産油国のアゼルバイジャン、カザフスタンは世界的な原油価格の下落、アルメニア、キルギス、ウズベキスタンは中国向け鉱物資源輸出の落ち込み、タジキスタンなどはロシア経済の落ち込みを受けた(ロシアからの)自国労働者による送金減少などを挙げている。
一方、2021年に関しては、アゼルバイジャンとタジキスタンを除き、新型コロナウイルス関連の経済減速要素を含める以前のGDP成長率のレベルまで回復すると予想しており、今回のコロナウイルスの感染拡大が中央アジア、コーカサス諸国の経済成長に与えるダメージは一過性にとどまるとの見方も示している。
(高橋淳)
(中央アジア、コーカサス)
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