労働雇用促進省が雇用契約凍結制度を導入、労組側は反発
(ペルー)
リマ発
2020年04月17日
マルティン・ビスカラ大統領は4月13日の記者会見の場で、労働雇用促進省(MTPE)による緊急令038-2020号を布告した。企業と雇用を守ることを目的として、労働契約を一時的に凍結(SPL:Suspensión Perfecta de Labores)するもの。一時凍結措置は、テレワーク対応が合理的でない業種であって、自宅待機を余儀なくされている労働者を雇用しており、かつ、今回の新型コロナウイルスの影響により4月14日時点で経営難に陥って有給休暇を適用できない企業が対象となる。希望する雇用主は、MTPEに対して申請書をインターネット経由かつ宣誓供述書形式で提出し、労働監督庁(SUNAFIL)による精査を受けた後30日以内に適用の可否の連絡が来る。また、適用期間は全国衛生緊急事態期間終了から30日後の2020年7月9日まで。
一方、SPLが認められた労働者は、引き続き社会保険庁(ESSALUD)による健康保険を扶養家族も含めて利用できる。また、勤務時間補償(CTS)(注)を1カ月につき1回引き出すことができる。なお、同積立金の残高がない場合は、雇用主に対して5月のCTSおよび7月のボーナス分のCTSの前払い請求ができる。その場合、雇用主は請求から5日以内に支払わなければならない。また、SPLの適用が認められた零細企業に所属する月給2,400ソル(約74,400円、1ソル=約31円)以下の労働者は、SPL期間中毎月760ソルの支援金を受給できる。その他、SPLが適用された労働者は、国民年金制度(SNP)の支払い義務が3カ月間免除され、民間年金(AFP)積立金から特例的に2,000ソルまで引き出すことが認められる。
しかし、ペルー労働者総連合(CGTP)のヘロニモ・ロペス書記長は、本制度は労働者の積立金をあてにしており雇用主寄りだとして、全国規模での抗議活動も辞さない考えを示している。ペルー中央統一労働組合(CUT)のフリオ・バサン組合長も、労働契約ではなく「あたかも商業契約を結んでいる」ような労働者の処遇に懸念を示した。
(注)毎年5月と11月に、直近6カ月の平均給与額(残業代・諸手当を含む)に賞与(上期、下期の該当するいずれか)の6分の1を上乗せした額の半額を労働者指定のCTS用特設銀行口座に積み立てたもの。本来は退職金積立が目的。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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