トランプ米大統領、新型コロナウイルスの感染拡大に対し国家非常事態を宣言、米国株式市場は好反応

(米国)

ニューヨーク発

2020年03月17日

トランプ米大統領は3月13日、米国内で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて国家非常事態外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを宣言した。これにより各州や自治体は緊急対応のための資金にアクセスができる。大統領はこのほか、学生ローンの利払い免除や原油の買い増しといった対策を明らかにした。また、新型コロナウイルスの検査能力の拡大に向けては、政府と民間企業との協力体制を発表した。

ホワイトハウスが発表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、大統領が発表した措置は3つに大別できる。第1に、「全ての連邦の資源を機動的に活用する」とし、州や自治体は新型コロナウイルス感染対策のために420億ドルの資金にアクセスすることができるとしている。加えて、中小企業庁が70億ドルの融資枠を設ける。連邦政府が貸し付けている学生ローンの利払い免除や戦略石油備蓄のために政府が原油を買い増すといった対策も行われる。また、各州に対して非常事態対応のためのセンターを立ち上げるとともに、全ての病院に非常事態用の計画を稼働させるよう指示した。

第2に、「医療提供者を後押しする」として、保健福祉長官に対して、いくつかの法律や規則を免除し、医療提供者が患者を治療する上で最大限の柔軟性を与えられるよう権限を付与する。例えば、テレヘルスによる遠隔医療サービスの提供を可能にしたり、他州の医師が感染拡大州で医療サービスを提供できるよう許認可を与えることなどが含まれる。

最後に、「検査を迅速に拡大する」として、民間企業と協力して新型コロナウイルスの検査能力を全米で拡大するとしている。政府とグーグルが共同で、国民自身が症状に基づいて自己診断できるウェブサイトを作成し、感染の疑いがある場合はどこで検査が受けられるか示せるようにする。検査場所はウォルマートなど大手小売企業が駐車場などを提供する。検査キットについては、製薬会社のロシュが開発したものを米食品医薬品局(FDA)が緊急承認し、16日の週には200万セットが入手可能になる見込みとしている。

政権の発表を市場は好感し、ダウ工業株30種平均は3月13日、1,985ドル上昇し、過去最大の上げ幅を記録した。また、同日夕には政権とナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)が追加のコロナウイルス対策法案で合意し、トランプ大統領は自身のツイッターで「全ての共和党議員と民主党議員が一つになり、賛成票を投じるよう奨励する」と発言している。

(磯部真一)

(米国)

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