新型コロナウイルス感染確認は3人に増加、市民の間で不安高まる
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年03月06日
ブラジル保健省は3月4日、国内で3人目となる新型コロナウイルス感染者を確認したことを発表した。また、感染の疑いがあって検査の結果陽性となり2回目の検査判定を待つ人が1人いることも明らかにした。先に感染が確認された2人も含め、4人ともイタリアへの渡航歴がある
3月2日付「グローボ」紙によると、現地航空会社のラタン航空は2人目の感染者が確認された後、3月2日から4月16日までサンパウロ~ミラノのフライトを停止することを発表している。
保健省は、感染の疑いのある人は531人(サンパウロ州316人、リオグランドスル州98人、ミナスジェライス州が82人、リオデジャネイロ州55人など)だったが、315人は陰性だったと明らかにしている。同省は3月9日以降に3万個の検査キットを国内各地の研究機関に配布すると2日に発表している。検査の迅速化が進むことで感染者数が増加することも予想される。
保健省は3月4日時点で計33カ国(中国、韓国、北朝鮮、米国、日本、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アラブ首長国連邦、フィリピン、フランス、オランダ、イラン、ギリシャ、イタリア、マレーシア、レバノン、英国、スイス、スウェーデン、サンマリノ、ノルウェー、フィンランド、クロアチア、デンマーク、エクアドル、スペイン、イスラエル、カナダ、アルジェリア)を新型コロナウイルス監視対象国としている。対象国からの入国者には、ブラジル入国後14日間、発熱、せきなどの症状が出た場合は直ちに検査を受けるよう推奨している。また、感染拡大防止のために手洗いとうがい、マスク着用と手を清潔に保つよう国民に促している。
サンパウロ市内の薬局やスーパーでは、アルコール消毒液やジェル、マスクが売り切れる状態となっており、市民の間でも不安が高まりつつある。
現地紙や学校関係者によると、発熱や風邪の症状がある児童や生徒本人と家族は、14日以内に監視対象国への渡航歴がある場合は登校を控えるなど、感染拡大の防止策を講じている。
ブラジル政府は2月6日、新型コロナウイルス対策法(法律13.979号)を発令し、国際的緊急事態に対しての措置を定めた。今後、日系企業を含む当地企業は同法第3条第3項に基づき、感染時は従業員を有給休暇扱いで休ませる措置をとることができる。感染が拡大するにつれ、各社の判断に基づき自宅待機など勤務態勢の見直しが必要となってくるだろう。
(松平史寿子)
(ブラジル)
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