2019年第4四半期のGDP成長率、前期比横ばいも通年では1.4%に
(英国)
ロンドン発
2020年03月09日
英国国民統計局(ONS)の2月11日の発表によると、英国の2019年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(第1次速報値)は前期比横ばい(0.0%)、前年同期比1.1%となった。2019年通年の成長率は1.4%と、前年の1.3%より0.1ポイント上昇。英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐる不確実性が続いたにもかかわらず、前年を上回る成長を記録した(図参照)。
需要項目別にみると、GDPの6割強を占める個人消費(家計支出)が前期比0.1%増まで落ち込み、前年同期比でも1.3%増にとどまった(表参照)。他方、政府支出は一般行政と国防、医療、教育などの支出増により、前期比2.1%増、前年同期比4.4%増で、それぞれ0.3%増、3.6%増だった第3四半期(7~9月)を上回った(注)。総固定資本形成は企業投資の手控えなどにより、ブラック ジャック 勝率通信技術(ICT)設備、住宅、輸送機器などが落ち込み、前期比1.6%減、前年同期比0.9%減となった。
産業別にみると、建設業が前期比0.5%増、前年同期比2.5%増と比較的好調だった。民間商業施設や公営住宅の新規着工増が寄与した。他方で、サービス部門は卸売・小売業が前期比0.4%減、前年同期比でも1.4%増に落ち込んだことなどから、部門全体ではそれぞれ0.1%増、1.3%増にとどまり、第3四半期(各0.5%増、1.7%増)を下回った。卸売・小売業が前期比マイナスとなったのは2017年第1四半期(1~3月)以来で、ONSは2019年12月の下院総選挙に伴う国内政治の不確実性増大などが押し下げ要因としている。前期比1.1%減、前年同期比2.5%減となった製造業は、月別のGDP成長率をみると、11月が前月比1.6%減となり、4月の4.4%減に次ぐ落ち込みとなった。いずれも当時はその前月末にブレグジットが予定され、離脱前の在庫積み増しの反動により減少。製造業は2019年通年でも前年比1.5%減と落ち込み、2013年以来のマイナスとなった。
前期比では多くの部門で成長が鈍化したものの、英国の経済調査会社キャピタルエコノミクスは、前期比横ばいだったことは同社予測の0.1%減よりは良好だったと指摘。足元の景況調査の結果などから、2020年第1四半期(1~3月)はプラスに転じると予想している(「BBC」2月11日)。
(注)ただし、第1次速報値は部分的に実際の歳出額ではなく見通しに基づいて算出されているため、今後、歳出に基づく数値に修正される場合がある。
(杉田舞希)
(英国)
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