ピーシー・インターナショナル・チェコ、関税コスト削減に成功
(チェコ)
プラハ発
2020年03月31日
パーカーコーポレーション(本社:東京都)は、機械、化成品、化学品、産業用資材、化工品の製造販売を行っており、製品の研究開発から販売まで、アジアを中心にグローバルな展開を推進している。チェコ子会社のピーシー・インターナショナル・チェコは、チェコがEUに加盟した2004年にロウニ市に設立され、2011年に現在のプラハ近郊に工場を移した。ジェトロは2020年2月、同社の小野桂輔社長、石川泰一郎取締役に、日EU経済連携協定(EPA)の具体的な利用状況、成果および課題について聞いた。
チェコ拠点の主力製品は、家庭用の空調設備の静電・抗菌フィルターおよび室外機の圧縮機用防音カバーで、日系メーカーの欧州拠点に製品を納めている。従業員数は現在65人。全部署の責任者のポストを、現地人従業員が占めている。チェコでの労働者不足から、優秀な人材の確保が困難な今日、賃金見直しや福利厚生の充実を図ることにより、従業員が将来も安心して働くことのできる環境を築いている。同社の製品は、季節による生産量の変動が大きいこともあり、必要人員の補充には派遣労働者が欠かせない。現在、その大半はウクライナ人労働者だ。
原材料は、現地調達化を促進し、日本からの輸入を極力減らすことを目標に据えている。ここ数年間、順調に現地調達化を進めているが、フィルターに使用されているメーカー指定のネットなど、特殊な材料については日本からの輸入が必要となる。当該材料の関税は8%だったが、日EU・EPA発効時(2019年2月)に即時撤廃され、日タイ・EPAの実務経験を応用するかたちで、日EU・EPAの特恵措置の適用を受け、関税ゼロで輸入できている。
将来的には、圧縮機用防音カバーにおいても同EPAを活用することを検討しているが、現時点ではブラック ジャック ブラック クイーンから調達された原材料も含まれているため、原産性の証明が可能かどうかの分析が必要。また、機械設備で投資費用の大きなものについても日EU・EPAの活用を検討しているが、コストや人員の関係から十分な調査を実施できるまでには、まだ時間がかかるものとみられる。
欧州全体において、空調設備の需要が増えると同時に、日系メーカーの市場シェアも伸びてきている。そのため、今後は原材料の調達が安定して可能なトルコにも拠点を設立することを計画している。
(中川圭子)
(チェコ)
ビジネス短信 e90c3387486246f4