聖地巡礼の一時停止や水際での措置など新型コロナウイルス対策を強化
(サウジアラビア)
リヤド発
2020年03月09日
国内での新型コロナウイルス感染者がわずかながら増加しているサウジアラビアでも、政府が連日さまざまな予防措置を講じている。サウジアラビア国営通信(SPA)は3月4日、イスラム省の決定として、イスラム教の聖地メッカとマディーナへの巡礼を自国民を含めて一時停止することを報じた。1年を通じて各国からの巡礼者で混み合うメッカのカアバ神殿に清掃業者を除いて人の姿が見られないという、イスラム教開祖以来初めての写真を現地各紙が掲載している。
また、SPAは6日、内務省がアラブ首長国連邦(UAE)とクウェート、バーレーンからの物流を除く陸路での入国を一時停止させ、入国はリヤド、ジェッダ、ダンマンの3空港に限定するとともに、入国時に渡航元の検査機関で受診したPCR検査結果の提出を求める決定を報じており、水際対策を強化している。
他方で、リヤド市内を見ると、映画館や3月末まで続く娯楽イベント「リヤド・シーズン」の一部でもある期間限定遊園地「ウインターワンダーランド」は、家族連れで混み合う週末も通常どおりの営業を行っている。こうした対応の差に対し、SNS上では、エンターテインメント分野は規制せずに巡礼を規制することへの違和感を表明するコメントが見られるなどしている。
(柴田美穂)
(サウジアラビア)
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