外国人の幹部専門職向け就労査証の発給基準、5月から厳格化
(シンガポール)
シンガポール発
2020年03月09日
シンガポールのジョセフィン・テオ人材相兼第2内務相は3月3日の国会での予算審議で、幹部専門職向けの就労査証「エンプロイメント・パス(EP)」の発給基準となる最低基本月給について、現行の3,600シンガポール・ドル(約26万6,400円、Sドル、1Sドル=約74円)から、3,900Sドルに引き上げると発表した。新基準は5月1日から適用となる。ただし、EP更新時の新基準適用は1年後の2021年5月1日からとなる。
同国では外国人労働者の就労査証として、技能や学歴、就労経験、賃金に応じて、幹部専門職にEP、中技能職にSパス(基本月給2,400Sドル以上)、低技能職にワーク・パミット(WP)などを発給している。
今回の基準引き上げについて、テオ人材相は「地元公立大学の新卒採用時の給与上昇を受けたもの」と説明した。また、EPの発給基準となる最低基本月給について、年齢の上昇に応じてその給与基準額も引き上げると述べた。例えば、40代前半のEP申請者の月給は、地元の中堅キャリア人材との公平性を維持するためにも、新基準となる3,900Sドルの約2倍の必要があると指摘した。
EP申請前の地元人材の募集対象となる月給上限を2万Sドルに引き上げ
一方で、同国では2014年から、国民の雇用支援を目的とした「公平な採用検討のためのフレームワーク(FCF)」を導入している。FCFでは、雇用主は外国人労働者のEP申請前に、求人バンクに同様の条件で地元の人材募集を掲載する必要がある。テオ人材相は今回、地元人材募集の事前掲載の対象となる月給上限を5月1日から、現行の1万5,000Sドルから2万Sドルに引き上げると発表した。
(南原将志)
(シンガポール)
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