政策金利を過去最低の0.50%に引き下げ、新型コロナウイルスの影響に対処

(オーストラリア)

シドニー発

2020年03月04日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は3月3日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に対する国内経済支援のため、政策金利を0.25ポイント引き下げ、過去最低の0.50%とすることを決定した。

RBAのフィリップ・ロウ総裁は「新型コロナウイルスによって2020年前半の世界経済はこれまでの予測よりも低成長となることが見込まれるが、その影響がどれほど継続し、世界経済がどの時点から改善していくかについて言及するのは時期尚早だ」と述べた。

オーストラリア経済についてロウ総裁は「特に教育や観光産業に大きな影響が出ており、不確実性の高まりによって国内消費にも影響を与える可能性が高く、2020年第1四半期(1~3月)のGDP成長率は予測を大きく下回る可能性が高い」とした。直近の経済指標をみると、1月の失業率は5.3%と2019年12月から0.2ポイント悪化したが、ロウ総裁は「中古住宅市場は持ち直しの兆候があり、低金利や為替安、インフラ投資の拡大、資源セクターの前向きな見通し、住宅建設や家計消費の回復期待によって、新型コロナウイルスの感染が終息すれば、オーストラリア経済は回復基調に戻るだろう」との見通しを示した。

また、ロウ総裁は「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、オーストラリアでの完全雇用とインフレ目標達成にはさらに時間がかかると予想される」として、「引き続き状況を注視し、経済へ及ぼす影響を評価するとともに、必要に応じてさらなる金融緩和を行う用意がある」と説明した。

なお、OECDが3月2日に発表した最新の世界経済見通しによると、オーストラリアは、日本や韓国と同様に中国経済との結びつきが深いため、影響が大きいとして、2020年の成長見通しは1.8%と、2019年11月時点の予測から0.5ポイント引き下げられている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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