電気自動車普及を後押し、2040年までにガソリン・ディーゼル車を段階的に廃止へ

(シンガポール)

シンガポール発

2020年03月06日

シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相は2月18日発表の2020年度予算案(2020年4月~2021年3月)で、ガソリンやエンジンを燃料としたエンジン搭載車(ICE)を、2040年までに段階的に廃止する計画を明らかにした。ヘン副首相は「国民の健康を守り、気候変動への対策」の一環として、電気自動車(EV)を中心に環境に優しい燃料車へと切り替える方針を示した。

発表によると、EVを中心にクリーンな燃料車へと切り替えるインセンティブとして、小型商用車向けに「商用車排出スキーム」を導入する。これは、乗用車やタクシー向けに2018年に導入したインセンティブ「乗用車排出スキーム」(注)と同様の内容となる見通しで、環境・水資源省が近日中に予算審議の中で明らかにする。また、乗用車とタクシーに対しては追加インセンティブとして、車両購入時に支払う追加登録料(ARF)の45%を払い戻す〔上限額2万シンガポール・ドル(約156万円、Sドル、1Sドル=約78円)、2021~2023年〕。さらに、EVと一部ハイブリッド車を対象に、車の所有者に毎年または半年ごとに課される道路税の負担を軽減する。

また、政府はEVの普及のため、公共の充電スポットを現行の約1,600カ所から、2030年までに2万8,000カ所へと拡大する計画だ。このほか、政府機関も、環境に優しい車の調達を積極化するとしている。

陸運庁(LTA)の最新統計によると、EVは2020年1月末時点で1,125台と、同国の全乗用車の0.2%にとどまる。国内で購入可能なEVの中で、最も価格の低いルノーの「ゾエ(ZOE)」の販売価格は、自動車所有権証書(COE)込みで11万~12万Sドルと、価格の高さも普及の足かせになっている。

(注)「乗用車排出スキーム」は、2018年1月に導入されたインセンティブで、環境に優しい燃料車を購入すると、乗用車の場合に2万Sドル、タクシーは3万Sドルの税金の払い戻し(リベート)を受けられる。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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