医療崩壊を防ぐため遠隔医療を活用するシバ病院、COVID-19対策

(イスラエル)

テルアビブ発

2020年03月27日

国内で拡大する新型コロナウイルス(COVID-19)の感染に対処するためのシバ病院は、イスラエルで最も重要な拠点の1つ。中核病院として従前の機能を維持しつつ、ウイルス感染から国民の健康を守るため効果的な対応を行う方法を模索している。

同病院は、適切な医療サービスを継続して提供するため、医療従事者の感染リスクを抑えること、重篤度が高いウイルス感染者を優先的に治療することに主眼を置き、限りあるリソースの効率的な配分により医療崩壊を防ぐ意識が強いことが特徴だ。その手段として遠隔医療のツールを活用している。

現在シバ病院では感染者専用のベッドが44床ある。さらに入院患者を受け入れるため、3月に新規のICU(集中治療室)を整備し45床を追加。今後も感染者数が増加することを見据え収容キャパシティの拡大を行う予定だ。

同病院ではARCイノベーションセンターが中心となり「Central Telemedicine Tent」を立ち上げ、遠隔で診察や治療を行う態勢を整備し運用を開始している。病院から2キロ以上離れた建物に感染者を収容し、病室内での医療従事者との接触を必要最低限にするためテント内から対応する区画管理を行っている。この遠隔医療プログラムのために採用される代表的なソリューションは次のとおり。

〇InTouch Health Robot (インタッチヘルスロボット/米国)

ロボット型遠隔医療カート「Vici」により、病室に医療従事者を介在させることなく患者が自ら各種検査を行う。遠隔操作で移動し、ビデオ通話で医師が患者のサポートを行う。

〇EarlySense(アーリーセンス/イスラエル)

ベッドのマットレスに非接触型AIセンサーを設置し、患者の脈拍、呼吸、ベッド上での動きなどをモニターする。ビッグデータの分析により患者の容態悪化を未然にまたは早期発見する可能性を高める。

〇TytoCare(タイトケア/イスラエル)

カメラ、体温計、聴診器等の機能を持つ遠隔診断用小型デバイスにより、患者が喉、肺、心臓、耳などの状態を医師に伝えるシステム。送信されたデータで医師が診断を行う。

〇Datos Health(デイトス/イスラエル)

医師がリアルタイムで病室の患者の健康状態を観察するリモートケア用プラットフォーム。深刻度に応じた患者の症状の一覧表示や、患者とビデオ通話を行うことが可能。新型コロナウイルス対策として3月に発表した「The Datos COVID-19 solution」では、感染の疑いがある、または感染しているが入院の必要がないケースなど、症状に応じた最適なケアの提供をサポートする。

(余田知弘)

(イスラエル)

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