在中米国企業、新型コロナウイルス拡大による移動制限措置や生産性低下などの影響が顕著
(米国、中国)
米州課
2020年03月03日
在中米国商工会議所は2月27日、在中米国企業向けに実施した新型コロナウイルスの影響に関する調査レポートを公開した。調査期間は2月17~20日の4日間で、同商工会議所加盟企業のうち169社が回答した。
同レポートによると、コロナウイルス流行に伴う中国ビジネスへの影響として、世界的な渡航制限(51%)、従業員の生産性低下(45%)、中国発着の旅行・観光の減少(36%)、運営コストの上昇(33%)、中国内のローカルサプライチェーンの寸断(30%)が上位に挙がった。
事業活動が正常化する時期としては、3割弱の企業が3月末までと見通す一方で、計12%の企業は2020年の夏ごろ(5~9月)まで長期化すると予測している。仮に4月30日までにコロナウイルスの問題が解消し、事業活動が正常化した場合でも、回答企業の約半数は2020年の中国事業における収益が減少すると見込んでいる。コロナウイルスによる影響が8月30日まで続いた場合には、約6割の企業は収益が減少するとしており、全体の18%の企業は収益が50%以上落ち込むことを見込んでいる。
事業再開の遅れによる1日当たりの損害額を聞いた設問に対しては、半数強の企業は、損害額を算定するには時期尚早としているが、10%の企業は少なくとも1日当たり50万元(800万円、1元=約16円)以上の損失が出ていると回答している。一部の企業においては、既に深刻な経営への影響が出ていることがうかがえる。
コロナウイルスが中長期的(3~5年)な経営戦略に与える影響への問いでは、55%の企業は判断するには時期尚早としているが、34%は影響はないと回答している。コロナウイルスによる中国事業への投資計画への影響については、半数の企業は判断するには時期尚早としているが、24%は投資額を減少すると回答している。コロナウイルス拡大に伴う不確実性による今後2年間の中国ビジネスへの影響に関する問いでは、44%の企業が米中関係にネガティブな影響を及ぼすとの見方を示している。
在宅勤務制度の活用状況については、94%の企業が実施しているが、そのうち55%は、在宅勤務により生産性が下がっていると回答している。
米国政府に対する要望としては、世界保健機関(WHO)の勧告に基づく米国への入国制限措置の緩和(55%)、米中の第1段階の貿易協定に関するガイダンス(41%)、商業面でのサポート(39%)などが上位に挙げられた。
(須貝智也)
(米国、中国)
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