トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス、新型ヤリス投入に向け、日EU・EPAを活用

(EU、フランス、日本)

パリ発

2020年03月04日

トヨタ自動車のフランスにおける車両生産拠点であるトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(以下、TMMF)は、2020年5月販売開始予定の新型車製造用の設備・機械装置等の日本からの輸入品について、2019年2月の日EU・EPA発効時より特恵関税を利用している。ジェトロは2月20日TMMFを訪問し、その現状を聞いた。

もともと在ベルギー欧州統括会社であるトヨタ・モーター・ヨーロッパ(以下、TME)は2018年1月、トヨタ自動車の「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクシャー(TNGA)(注)」を導入した新型車を生産するため、3億ユーロ以上を投資しTMMFを刷新すると発表していた。これと並行して、日本とEUのEPA交渉が発効に向け加速したことから、TMMFはTME、日本の親会社であるトヨタ自動車(以下、TMC)と連携し、設備仕入れ先の協力を得ながら、2018年半ばより日EU・EPA活用に向け以下のような準備を開始した。

1)該当工程・対象設備の整理

2)出荷計画と申告対象設備の選定

3)設備仕入れ先への説明会

4)請求書・通関関連書類の改訂

5)原産地判定業務の効率化

6)通関関係者(税関・物流業者)との調整

とりわけ原産地判定業務については、輸出者となるTMCが仕入れ先に対し日EU・EPAについての説明会を開き理解を得たうえで、設備・機械装置等に関わるHSコードの振り分けを実施。仕入れ先の負担軽減や、HSコードの分類、原産性の判定の一元化等の効率改善を行った。

TMMFが日EU・EPAの特恵関税利用により享受する免税額は対象設備価格のおよそ2%に達するという。TNGAを導入して製造した新型「ヤリス」は2020年5月に欧州市場に投入される。TMMFでは2021年末までに年間生産台数を30万台に引き上げ、雇用者数も4,500人に増やしたい考えだ。

(注)TNGAとはパワートレーン(エンジン、トランスミッション、ハイブリッドユニット)とプラットフォーム(車台)を一新することで、「走る、曲がる、止まる」というクルマの基本性能を向上させる取り組みを指す。

写真 2020年5月に欧州市場に投入される新型「ヤリス」(TMMF提供)

2020年5月に欧州市場に投入される新型「ヤリス」(TMMF提供)

(山崎あき、遠藤朋美)

(EU、フランス、日本)

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