成都-欧州間の貨物鉄道の1~2月の運行本数は前年同期比88%増加
(中国)
成都発
2020年03月12日
新型コロナウイルス(以下、新型肺炎)による感染が国内外で拡大している中、各国で中国との間を結ぶ航空貨物便などの一時運休や減便が続いており、サプライチェーンに大きな影響を与えているが、実際は成都市人民政府のウェブサイトによると、2020年1~2月の成都市と欧州を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の運行本数は前年同期比88%増の267本に達している。また、3月8日付の「中国一帯一路網」によると、主に欧州向けや東南アジア向けが堅調で、貿易品目は電子製品、木材、自動車および自動車部品などが上位を占める。
ジェトロが成都国際鉄道港管理委員会の関係者にヒアリングしたところ、「中欧班列」は2月上旬の一定期間には、従来の毎日運行から週3~4便に減便したものの、通常の鉄道などに比べ人的接触が少ないことから、停止させずに輸送を続けている。通常、成都から欧州への輸送には海上輸送や航空輸送が利用される場合が多いが、新型肺炎の感染予防・抑止期間中は、船便の運休が相次いだほか、航空便の運賃も大きく値上げされ、代替手段として中欧班列が利用されるケースがみられたという。ただし、中には、中国国内の物流停滞を受け、貨物を鉄道港まで輸送できない事例も見られたという。
ジェトロがシンガポール系海運大手パシフィック・インターナショナル・ラインズ(PIL)傘下の太平集運服務(中国)華西区の程俊勇総経理にヒアリングしたところ、「四川省内の高速道路に設置された検査ステーションはすべて撤去され、道路交通も徐々に回復している。3月下旬にはトラックによる陸上輸送は平常の状態に回復し、鉄道港までの国内輸送が平常に戻ることにより、中欧班列による輸送はさらなる拡大が見込まれる」と述べた。また、程総経理は、中国西南地域から広西チワン族自治区を経由しASEANへと結ぶ「新国際陸海貿易通道」の利用率について「3月末までに通常時の80%に達するだろう」との見方を示した。
(王植一)
(中国)
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