新型コロナウイルスの影響で航空便の運休や減便が相次ぐ、観光業に打撃も
(ラオス)
ビエンチャン発
2020年03月23日
ラオス国内では3月18日現在、新型コロナウイルスの感染者は確認されていないが、世界的な感染拡大の影響を受けて、ラオスに就航する航空会社による運休や減便が相次ぐ。ラオス国営航空は中国、韓国便の一部を3月末まで運休・減便としたほか、3月29日に予定していたビエンチャン~ベトナム・ダナン線の新規就航の延期を決定した。また、日本人の利用が多いバンコク~ビエンチャン線でも運休・減便がみられる(表参照)。
経済成長率の目標達成は困難との見方も
ラオス観光統計によると、2018年の外国人観光客数は418万6,000人で、うち上位4カ国(タイ、ベトナム、中国、韓国)が全体の9割を占めた。こうした主要国との路線が運休や減便となったことで、観光業への影響は深刻だ。
現地の日系旅行代理店は「新型コロナウイルスの拡大懸念が本格化した2月初旬ごろから、ラオスを訪問するツアーや航空券のキャンセルが相次ぎ、3月以降は新規の問い合わせがほとんどない。例年、2月は決算前出張や学生旅行が集中する繁忙期であるだけに、厳しい状況」と肩を落とす。また、地場系の5つ星ホテルの担当者は「ホテル宿泊客は通常営業時の40%減で、稼働率は極めて低い。3月以降は新規予約がほとんどなく、連日キャンセルが続いている」と嘆く。
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の2019年報告書によると、ラオスの観光業はGDPの12%を占め、就業者は34万7,000人(全就業者の10.5%)に上り、国内雇用を創出する基幹産業の1つでもある。ラオス国立経済研究所(NIER)のリーバー所長代行は、観光産業はウイルス拡大による最初の影響を受ける分野だと指摘し、目標経済成長率の6.7%の達成は困難との見方を示した(「ビエンチャン・タイムズ」紙3月4日)。
(宮本結都)
(ラオス)
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