2020年国家自動車政策を発表、次世代自動車インダストリー4.0、MaaS含む産業発展を目指す
(マレーシア)
クアラルンプール発
2020年03月02日
マハティール・モハマド首相は2月21日、2020年国家自動車政策(NAP2020)を発表した。NAPの改定は2014年から約5年ぶりとなる。NAP2020はNAP2014の強化策として位置付けている。国内自動車産業の競争力と能力の向上、省エネ車(EEV)域内ハブ、自動車・同部品・スペアパーツの輸出強化などNAP2014で策定された目標を踏襲しつつ、新たな要素として次世代自動車(NxGV)やインダストリー4.0、モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)を盛り込み、自動車産業の包括的発展を目指す(表1参照)。
先端技術を加えた包括的な自動車政策
NAP2020では、マレーシアを自動車分野の製造やエンジニアリング、技術、持続可能な発展の域内リーダーとなることをビジョンに掲げる。具体的には、自動車輸出や部品・スペアパーツ、研究開発(R&D)、現地人材の能力向上など製造に関わる分野に加え、自動車やモビリティー関連技術の開発、自動車・同部品の試験といったサービス分野のハブを目指すことを示している。また、NAP2020の目標として、NAP2014で掲げた7項目に新たな3つの要素に関する5項目を加えた12項目を設定した(表2参照)。
2030年をターゲット年に設定
NAP2020では、パーム油由来のバイオ燃料や燃料品質について段階的な強化を行っていくことも示した。バイオ燃料は2019年2月からB10(パーム油を10%混合した燃料)が導入されているが、2020年までにB20、2030年までにB30を導入する計画だ。燃料品質は2020年以降、ユーロ5規格への対応を目指す。
また、自動車製造による1,042億リンギ(約2兆7,092億円、1リンギ=約26円)のGDPへの寄与、123億リンギの完成車輸出、32万3,000人の新たな雇用、1,285社のティア1・ティア2以下のサプライヤーの創出などを2030年までのターゲットに設定した(表3参照)。
輸入許可は継続
完成車輸入に必要な輸入許可(AP)については、あらゆる車種、車齢の完成車が輸入できるオープンAP、特定の車種のみ輸入できるフランチャイズAPとも継続とし、AP取得企業も原則としてブミプトラ企業に限定される方針を示した。一方、マレーシア国際貿易産業省(MITI)と財務省が再検討しているという物品税については、NAP2020内での言及はなかった。
(田中麻理)
(マレーシア)
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