華南地域の日系企業、収益減少するも8割強は移転考えず
(中国)
広州発
2020年03月04日
ジェトロは2月24~28日に、中国の広東省と福建省、広西チワン族自治区、海南省の日本商工会、在広州日本総領事館の協力を得て、4省・自治区の在華南地域進出日系企業457社に、新型コロナウイルスの感染拡大への対応状況を確認することができた。
広範に収益減少、操業再開するも稼働率は回復せず
2020年の収益への影響について、95%以上の企業が「マイナスの影響を受ける」としている。うち、収益が1割を超えて減少する企業が約7割を占める。減少幅は「11~20%減少」が36.2%で最大となっている(図1参照)。
また、96.5%の企業が操業・生産を再開したものの、稼働率が100%との回答はわずか6.7%にとどまる。稼働率が60%に満たない企業が4割弱を占めており、本来の状況に戻るにはまだ時間が必要な様子だ。操業や稼働率が制限される要因としては、当局の規制や従業員自身の感染に対する危機意識から、従業員の職場復帰が遅れていることが大きい。
現地駐在員について、「全員が日本に帰国」(25.1 %)、「一部が日本に帰国」(28.9%)の回答を合わせると、過半の企業が帰国させている(図2参照)。
日本へ帰国している駐在員が中国へ再度戻る基準については、「日本政府の渡航制限レベル2の解除」が19.3%で最大となった。ただし、「その他」が6割を超えている。その内訳は、親会社・本社の判断に従う企業や、総合的に見て判断する企業、自社や顧客の操業状況を基準とする企業が多いが、「基準はない」との回答も多く、判断が分かれている。
多くの企業が現地での操業継続
現地業務の日本回帰や第三国への移管については、84.8%が「予定なし」としており、ほとんどの企業が引き続き現地で操業する予定。「もともと移管を検討していたが、今回の件で加速」と回答した企業は9.6%と一定数みられたものの、「今回をきっかけに移管を検討」との回答は5.6%にとどまった(図3参照)。
今後の中国ビジネスの方針については、「まだ分からない」が76.7%を占めており、多くの企業が不確定な状況にある。一方で、「規模を拡大する」が15.4%で、「規模を縮小する」(7.9%)の約2倍となるなど、現時点では新型コロナウイルスの影響でビジネス縮小を決めた企業は限定的となっている。
(河野円洋)
(中国)
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