ルーマニア政府、新型コロナウイルス感染防止に向け対策を発表

(ルーマニア)

ブカレスト発

2020年02月25日

ルーマニア政府は2月11日、世界各地での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療用品および検疫対応に関する緊急法令を公表した。現在までにルーマニア国内において感染は確認されていないが、今後、感染者が発生した場合を想定し、政府が対策に乗り出しだ。同法令により、内務省緊急事態局に補助金約4,700万ユーロが投入され、関連医療用品・設備など(マスクや消毒用アルコール、人工呼吸器、隔離室など)の導入が進められる。また、水際対策として、国内の各空港にサーモグラフィーが配備される予定だ。

2月13日に、横浜で検疫中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で感染が確認された患者のうち、1人がルーマニア人乗務員だったことが明らかになり、国内への感染拡大への警戒感は増している。現在、中国やほかの感染の可能性が高い国や地域から入国した人を対象に、自宅と検疫所で14日間の隔離が実施されている。黒海沿岸のコンスタンツァ県衛生局長のクリスティナ・シポル氏は、直近で中国滞在歴があるルーマニア人のビジネスパーソンおよび留学生、県内の中国人駐在員ら51人を監視していると発表した。

ルーマニア郵便は現在、中国向け郵便物の配送を停止している。また今後、コンスタンツァ港経由で中国から輸入される製品のうち、多くを占める衣類や化粧品、玩具などの輸入を制限する可能性があることが、消費者保護国家局の発表で明らかになっている。

こうした各分野での動きを受けて、ルーマニア国立銀行(中央銀行)総裁のムグル・イサレスク氏は、新型コロナウイルスのまん延がルーマニア経済にもたらす影響について、世界的な経済停滞により2020年の消費者物価上昇率が低下する可能性が高いとの見解を示した。

ジェトロによる当地進出日系企業数社へのヒアリングでは、いまだ具体的な影響はみえていないところが大半だ(2月17日時点)。他方、一部では「中国拠点を含む取引先の操業停止により、部品調達に支障が出ており、中南米などほかの拠点から融通する予定」との回答があり、予断を許さない状況だ。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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