欧州委、日EU・EPAの効果を強調
(EU、日本)
ブリュッセル発
2020年02月03日
欧州委員会は1月31日、日EU経済連携協定(EPA)発効1周年を前に、同協定発効後の貿易の変化や同協定の意義をまとめたプレス発表を行った。日EU・EPAは2019年2月1日に発効した。今回のプレス発表では、2019年2~11月の入手可能な10カ月間の貿易額(以下、全てEU統計局データ)を基に、貿易全体を総括するとともに、目立った変化が確認された品目が紹介された。
EUの日本向け輸出額は前年同期比で6.6%増加、EUの日本からの輸入額も6.3%増加した。これを受けて、欧州委のフィル・ホーガン委員(通商担当)は「日EU間の貿易協定が、EUと日本の双方の市民や労働者、農家、企業を利するものとなっている」と総評した。
EUからの輸出額が、前年同期比で顕著な伸びを示した品目として、食肉〔12.1%増(注)〕、乳製品(10.4%増)、飲料(20.6%増)、皮革製品(14.1%増)、電気機器(16.4%増)などが挙げられた。これらはいずれも、2桁の伸びを記録した。とりわけ、食肉では豚肉が12.6%増、冷凍牛肉が3.2倍、乳製品ではバターが47.8%増、チーズが7.0%増、飲料ではワインが17.3%増など、飲食料品分野でEUからの輸出が好調な品目が目立つ点が強調された。
物品貿易以外でも、持続可能な開発や公共調達、GIなどでの意義を強調
同プレス発表では、日EU・EPAの物品貿易以外における意義として、地理的表示(GI)の保護や公共調達の開放、持続可能な開発に関する規定などが挙げられている。例えば、持続可能な開発に関する規定としては、第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)において採択されたパリ協定の内容に初めて具体的に言及した貿易協定である点が紹介された。この点に関連して、ホーガン委員は、同EPAが規定する「開放性、(相互)信頼(の確認)、そして既存のルールへのコミットメントは、貿易における持続可能な成長の実現の一助となるものだ」とコメントしている。
(注)一部品目の伸び率については、EU統計局データを基にプレスリリースよりも詳細な値を記載した。
(安田啓)
(EU、日本)
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